特定疾患治療研究事業

特定疾患(難病)にprader-willi症候群は認定されていませんから、最近、日本PWS協会の有志によって陳情書が提出されたところです。http://www.pwsa-japan.org/activity/statement.html
それで、難病認定について、いろいろと資料を読んでみましたが、いろいろな動きがあるようですね。
昨日の国会の厚生労働委員会でも特定疾患治療研究事業が議題として取り上げられていました。ただし枠を拡大しましょうという事ではなく、既に認定されている難病のうち患者数の多い、二疾患について、支援を削減しようという動きがあり(その事で予算の配分を新規認定や研究費に当てようとする意向のようです)、それに対する質疑でした。以前、新聞報道でもとりあげられていました。http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20061018/memo
prader-willi症候群を難病認定して欲しいというのは、親としてはもちろんありますが、それが他の疾患の患者さんの支援枠の削減によって達成されるんですと、聞かされると、あまり良い気持ちはしないですね。新規に難病認定を希望されている他の疾患の患者家族の方も同じように感じられるのではないかなと思います。
昨日の国会質疑を聞いていて、質疑のポイントと感じられたのは、「特定疾患治療研究事業について、厚生労働省健康局長の私的諮問機関である特定疾患対策懇談会の意見をもとに対象等決定されているが、削減候補になっている患者さん数万人の命に関わる事が、一懇談会の意見で決められて良いのか?」というところでした。
厚生労働省のHPに、この特定疾患対策懇談会の議事録が出ていますが、これもよく分らないところがありますね。

平成18年度第1回特定疾患対策懇談会
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/08/txt/s0809-4.txt

平成18年度第2回特定疾患対策懇談会
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/09/txt/s0911-1.txt

少し前の、橋本行政改革によって、省庁再編された際の、さまざまな議論の中で、各省庁に存在する、この種の懇談会の問題点についての指摘があり、それを読むと、現在でも言える処がたくさんあるように感じられました。

行政改革会議第23回会議議事概要(平成9年7月23日)
http://www.kantei.go.jp/jp/gyokaku/0805dai23.html
一部抜粋引用

現在各省庁等に多数置かれているいわゆる私的懇談会は、各省庁の思惑どおりの結論を出すための機関となっており、審議会以上に問題を抱えているので全廃すべきではないかとの意見があった。関連して、私的懇談会の開催について内閣に報告があるかとの質問があり、内閣官房より、重要な案件に係るものについては報告があることもあるが、法制上は報告の義務はなく、一般には行われていないとの回答があった。さらに、私的懇談会についてはどの省庁で何が行われているか分からないことが問題である、審議会以上の数が置かれていることは分かっても、予算等を見ても全体でいくつ設置されているかも分からない状況にあるとの発言があった。また、審議会に係る措置に準じて整理することが必要ではないかとの意見があった。
・私的懇談会をすべて禁止すると情報ソースが限られることにもなるので、ネットワーク構築のためにも全く否定はできないのではないかとの発言があった。
・私的懇談会の委員については公正に任命されているかどうか疑問があるとの指摘があった。関連して、私的懇談会では審議会で要請されている女性比率が守られていない等の問題があり、公平基準は審議会に準じて適用すべきではないかとの意見があった。

この指摘のうち、「各省庁の思惑どおりの結論を出すための機関となっており」というくだりは、主観的な部分もあり、確定的に言えない部分であるが、「私的懇談会では審議会で要請されている女性比率が守られていない等の問題があり、公平基準は審議会に準じて適用すべきではないか」という部分は、議事録等に委員の名簿が公開されているので、具体的に検証できる。委員22名のうち、女性は1名ですね。少なすぎますね。女性委員の比率が違えば、そうとう違う意見が出るのではないだろうか?

朝倉均  財団法人国際医学センター 理事長
内田建夫 社団法人日本医師会 常任理事
大野良之 独立行政法人労働者健康福祉機構労災病院 院長
金沢一郎 国立精神・神経センター 総長
神埼仁  慶應義塾大学 名誉教授
桐野高明 国立国際医療センター研究所 所長
工藤翔二 日本医科大学 主任教授
斉藤英彦 名古屋セントラル病院 院長
笹月健彦 国立国際医療センター 総長
猿田享男 慶応義塾大学 名誉教授
田中靖彦 学校法人国際医療福祉大学附属三田病院 院長
谷口克  独立行政法人理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター センター長
辻省次  東京大学大学院医学系研究科 教授
中村耕三 東京大学大学院医学系研究科 教授
埜中征哉 国立精神・神経センター武蔵病院 名誉院長
長谷川敏彦 日本医科大学医療管理学教室 主任教授
奏順一  国立生育医療センター 総長
溝口秀昭 埼玉県赤十字血液センター 所長
武藤輝一 新潟国際情報大学 学長
矢崎義雄 独立行政法人国立病院機構 理事長
本田孔士 大阪赤十字病院 院長
矢野正子 藍野大学医療保健学部 部長