特別展「大阪アンダーグラウンド」

2021年6月26日(土曜) コロナ禍緊急事態宣言も解除され、久し振りで長居の自然史博物館へ家族と行き、「大阪アンダーグラウンド」展を観てきました。

特別展「大阪アンダーグラウンド
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/tokuten/2021underground/

恒例のブロガー招待に幸運にも今回も当選していたのですが、開幕の週に緊急事態宣言が出て博物館が閉鎖となり、ようやく再開ですが、でももう明日で終わりととても短い開催でした。

偶然、昨日、我家の近所の西成区の住宅が、がけ崩れで倒壊したこともあり、地盤のこと、地下水のことなどを再考する機会となりました。
その現場が、以前に自然史博物館で開催された

特別展「ネコと見つける都市の自然-家の中から公園さんぽ-」 https://prader-willi.hatenablog.com/entry/20140720/shizenshi

で展示されていた天下茶屋湿地のすぐ北側にあり、当時、興味深く、湿地に自生していたなにわの片葉葦の保存会の皆さんと知り合い、現地を案内していただき、ボランティアで編集委員していた「人情マガジンにしなり」に掲載したりと、自然史博物館の展示で学んだ内容が、次々と関心を連鎖させていき、自然環境の深い理解に結び付いた事を思い出しました。

人情マガジンにしなり
https://www.city.osaka.lg.jp/nishinari/cmsfiles/contents/0000439/439779/12-13.pdf

今回の展示でも、天下茶屋湿地近くの地盤の深層ボーリングコア図が展示されていて、ずっと私はあの崖の段差が上町断層のずれた結果と思っていたのですが、そうではなく、上町断層は少し西側にずれていて、崖は過去にここまで海岸があり、その海岸の跡で、そこから西の海側へ海底の沈殿していった地層が続いている事が図示により理解することが出来ました。
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何箇所か地層の剥ぎ取り標本が展示されていて、過去の断層のずれなどが視覚化されていて、とても興味深く、また美しいので造型的にもアートな印象があったのですが、その採取の方法が、接着剤を用いて等とあるのですが、具体的にどんな風に作業をして剝ぎ取るのか、展示されていなかったので、理解が難しかったのですが、その後、高槻市の安満遺跡公園に行く機会があり、そこの資料室に、地層の剥ぎ取りの地層と現場での施行写真が展示されていて、立体的に理解が出来ました。
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そこから、大阪の地盤を手掛かりに、地球のマントルのさらに奥深く、溶けた金属状態の中央部の構造まで詳しく理解する機会となりました。 このような基礎的な知識も、長く触れる機会が無いと忘却していて、改めて展示で観ると、地球の芯の部分が高熱で溶けた金属状態であることに、やはり驚いてしまいます。
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さらに地球の深部へ、マントルへと実際に掘削していくプロジェクトの紹介は、見えないものを確認しよとする、人間の飽くなき探求心を感じます。

一緒に行った娘のアーチャンは、宝石や貴石類の美しさのとりこになり、ipadでいっぱい写真を撮っていました。
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私達の生活の基盤というか、地面を作り出す、土は生物の営みとの複雑な作用の結果、生まれてくるもので、特にミミズが食べて排泄しての繰り返しを、晩年のダーウィンが研究したことを、別の何かの機会に読んだことがありましたが、そのダーウィンが研究したミミズの糞の実物と研究の舞台となった庭園の写真の展示は、ちょっとユーモラスで良かったです。
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そして土をベースに暮らす様々な生物たちの展示も、モグラの糞だけを栄養にするナガエノスギタケの生態模型も、決して地上からは知ることの無い、とてもユニークなものでした。
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生物と生物の複雑な生態の関係や、生物と非生物とのこれも複雑な関係の理解が深まりました。 改めて、コロナ禍による変則的で短期間の展示となってしまったこと、残念に感じます。