特別展「生命大躍進−脊椎動物のたどった道−」
自然史博物館さんのブロガー招待に今回も当選したので、家族で観に行きました。
特別展「生命大躍進−脊椎動物のたどった道−」
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/
http://www.seimei-ten.jp/
大阪市立自然史博物館のwebより引用
過去の特別展でも気の遠くなるような生命の進化の歴史の中での地球規模での天変地異や大陸移動の展示を繰り返し観てきました。今回の特別展でも、地球誕生の46億年前からの各時代毎に、詳しく地図化されていました。(今朝未明に起きた熊本の2度目の震度7の地震とその被害報道によって、地殻変動のことを改めて意識させられました。)
熊本震災や、先の東北大震災のような地殻変動を無限に繰り返していくうちの、大陸移動であるし、それが過去の生命躍進にも繋がっているのでしょう。科学の地道な研究によって、それらが解明されることで、大きな歴史の一部に生きていることを、改めて認識する機会ともなりました。(地震被害報道等情報による重い気持がそれで解消される訳ではありませんが、気持のスイッチを切り替えることができたように思います。)
展示は生命誕生のプロローグから始まり、カンブリア紀の第1章〜人類誕生の第4章まで実物化石も多く、とても充実した内容でした。
プロローグ:生命誕生
私たちが吸っている空気の酸素もシアノバクテリアが作り出したものであるらしく、その死骸が気の遠くなるような時間を費やし堆積して出来た、ストロマトライトの塊の縞模様の美しさ。
最古の生命痕跡のあるチャート。
以前の特別展で、鉄もまた海中に溶けていたものを微生物が体に取り込み、それが海底に沈殿し鉄鉱石となり隆起して、という流れを知ったとき、私たちの街や建築の環境の殆どが、木材やコンクリート、石油なども含め、生成されたものであることに、改めて気付かされました。それを死骸の集積ばかりと感じると気持が悪くなりますが、ストロマトライトの縞模様のように、そこに美を感じ、心が落ち着くのも生成されたもの故なのでしょうか。
第一章:カンブリア大爆発(5.4億年前〜4.3億年前)
有名なバージェス頁岩化石群の実物化石が多数展示されていて、見飽きません。
生命誕生から数十億年も微生物の状態が続き、カンブリア紀に突然、現在の生物の祖先が現れたと、理解していたのですが、今回の展示で、カンブリア紀以前の、エディアカラ紀に既に多様な生物が現れていたこと、しかし、それらは現在の生物の形には受け継がれていない事など、新しい研究成果として知りました。
何故、受け継がれていないのか不思議ですし、また、その後、隕石の衝突などで5回生じたとされる大絶滅の時期もエディアカラ紀とカンブリア紀の間には起きていないようですから、謎ですね。
これらも今後の研究の進展によって書き換えていかれる内容なのではと思いました。
エディアカラ紀のベンド生物の実物化石。
最初の生物大躍進として、目の獲得が大きいですね。解説では藻の光を感じる遺伝子が偶然にクラゲのような生物に取り込まれていったのが、動物が目を獲得した原因であると。驚きの研究仮説です。
化石のうち、五つの目を持つオパピニアがやはり面白いですね。どんな風に外界が見えていたのか、何故5個も目があるのか、とても不思議です。
脊椎動物の祖先とされる脊索動物のピカイアも美しいシルエットです。
カンブリア紀最大の捕食生物のアノマロカリス。
第二章 海から陸へ(4.3億年前〜2.5億年前)
金魚など飼育するのが好きで、魚に興味があるので、陸への進出も大変な変化でしょうが、魚そのものの、シルエットが印象的でした。
シルル紀後期のロガネリア。ほとんどシルエットのみですが、美しい形です。歯の前身のようなものも持っていたらしい。
エイのように水底に居た、デポン紀前期のトレバナスピス。
魚類が両生類となり、上陸までの流れも詳しく展示されていますが、カンブリア紀の目の獲得や、その後の哺乳類の胎盤獲得も、他の生物の遺伝子の偶然の獲得とする研究仮説が展示されていますが、では上陸につながる変化はこれらの偶然の遺伝子の獲得とは、異なるプロセスなのか、その辺りも今後研究が進むと解明されていくのでしょうね。
それにしても、上陸の足跡が何故こんなに綺麗に残っているのか、とても不思議です。
第三章 哺乳類の出現と多様化(3億年前〜2300万年前)
いよいよ哺乳類の登場。その前に、哺乳類の特徴も備えた爬虫類で「単弓類」という生物が居たそう。
ペルム紀最大の肉食動物のディメトロドン。背中の帆は、脊椎が伸びたもので、体温調節やディスプレイの為のものらしいが、ディスプレイと感じさせる美しいフォルムですね。
大躍進-3として、哺乳類の胎盤獲得の展示。これも偶然にウイルス感染で生き残ったものに、ウイルスが運んできた胎盤を作る遺伝子が挿入されたとする仮説。
恐竜ら捕食者から逃げ回っていた小さなジュラマイアが私たちの祖先というのも良いですね。
ジュラマイアの巣穴展示を除くアーチャン。カワイイ動物が好きですね。
第四章 人類への道(6600万年前〜現在)
霊長類の祖先のイーダの化石(レプリカ)も細かな骨まで残っていて美しい。
人類の化石展示も充実していました。以前はホモサピエンスとネアンデルタール人は交雑していないと考えられていたのが、最新の遺伝子研究で、交雑していたことが明らかになってきたらしい。しかもその傾向はアジア系によく見られるという。これも興味深い研究です。
ほんとに盛沢山の展示で、お腹いっぱい。
いつも、家族それぞれの興味のあるコーナーで集中して見るのですが、娘のアーチャンは、触る展示がやはり実感を得易いこともあるし、今回の特別展は触れる展示がたくさんあったので、嬉しかった様子。こちらもお薦めです。
今回もブロガー招待いただき感謝です。
過去の参加記録もリンクしておきます。
特別展「たまごとたね-いのちのはじまりと不思議-」
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20150719/shizenshi
特別展「スペイン 奇跡の恐竜たち」
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20150322/shizenshi
特別展「ネコと見つける都市の自然-家の中から公園さんぽ-」
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20140720/shizenshi
特別展「恐竜戦国時代の覇者!トリケラトプス 〜知られざる大陸ララミディアでの攻防〜」
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20140322/ikimono
特別展「いきもの いっぱい 大阪湾 〜フナムシからクジラまで〜」
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20130721
特別展「発掘!モンゴル恐竜化石展」
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20121123/event
特別展「のぞいてみよう ハチの世界」
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20120728/event
特別展「新説・恐竜の成長」
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20120311/Museum
特別展「OCEAN! 海はモンスターでいっぱい」http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20110910/Museum
特別展「来て!見て!感激!大化石展」:http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20110703/event
大化石展ぐるぐる消しゴム アンモナイト:
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20110813/workshop
「お披露目!博物館に届いた新しい標本」展
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20110429/event