安部貴住「CIRCULATE」

the three konohanaさんで伊吹拓展を観た後、すぐ近くにある梅香堂さんへ。
3年ほど前に、同じ場所で拝見した安部貴住さんの個展。
ちょうどオープニングパーティーされていて、アーチャン連れていたので遠慮しようと思ったのですが、帰路、前を過ぎるとやはり観ておきたいと伺いました。安部さん在廊されていて、いろいろお話お聞きできました。

安部貴住「CIRCULATE」
2013年3月16(土)日〜4月21(日)日
梅香堂
http://www.baikado.org/docs/home.html

3年前に拝見した時の感想に下記のようなことを記していました。今回の展覧会で印象的だった重層的な額縁のなかにも、同様に平面と立体との境界線を巡る問いが刻まれていると感じました。

2010年10月30日の記録

オーナーさんのお話では、もともと立体の作家さんらしい。立体は、絵画と異なり、置かれた空間の中でそのままの姿で捉えられるが、絵画の場合、様々な錯覚や錯視が盛り込まれ、用いられた物質をイメージに転換しようとする。おそらく作家さんは、その狭間で揺れていて、いかに物質を虚構の枠の中へ入れていくのか、虚構自体前面化するべきなのか、と問うているような。
おそらくその際に、手掛かりとしてレリーフ的な中間的な存在が有効となるのかもしれない。

實松亮/安部貴住 「循環と置換」
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20101030/art2

安部さんの普段の仕事環境が最近、大きく変わられたらしく、その事が今回の作品にも影響はあるらしい。いろいろとお話しているうちに、特徴的な額縁(これも全てご自身で加工制作されているらしい)を見ていて、私の子供の頃に経験した、絵画というかアートに目覚めたエピソードを思い出し、安部さんに伝えました。
それは額縁にまつわるもので、学校の授業で描いた絵を知らないうちに美術の先生が額縁に入れて美術教室に飾ってくださったことがあり、その時に自分の絵が額縁に入れることで、こんなにも変化するんだと驚き、成人後に銅板画をするようになったのも、個展の時もお気に入りの額縁で飾ったりするようになったのも、無意識にその時の体験が影響しているんだと、気付きました。
額縁て、とても不思議な存在。
二次元平面としての絵画の延長上の存在では無いし、立体でも無いし、とてもニュートラルであるけれど、あると無いとでは雲泥の差が生じるような。
ちょうど同じ日に、the three konohanaさんで伊吹拓展を観た後だったし、額縁無しでキャンバスのまま壁に掛けている、ある意味裸形の絵画のような作品と強い対比が体験できたというか、その違いを強く感じることができました。
他の寒冷紗に白いドットで描かれた、前回と同様の手法で描かれた大きなシルクスクリーンの版のような作品を見ながら、絵画のように不可避的に虚像を生じイメージを産みだすシステムに常に抵抗するような姿勢で、イメージや物質のもとの状態へ循環させようとする試みのなかに、とても共鳴するし、私達はスクリーンの表面でも裏面でもない、境界そのものを見ているに違いないと感じました。素晴らしい展示、感謝。