末永史尚個展「アンシャープ」

その後、私だけ肥後橋で降りて、GALLERY ZEROさんへ行き、末永史尚個展「アンシャープ」を観ました。

末永史尚個展「アンシャープ」
http://gallery-zero.jimdo.com/
GALLERY ZEROのwebより引用

少し前にthe three konohanaさんの「OBJECTS IN MIRROR ARE CLOSER THAN THEY APPEAR」展で拝見していました。

「OBJECTS IN MIRROR ARE CLOSER THAN THEY APPEAR」展
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20150301/art
そこに下記のような感想を記していました。

末永史尚さんの三角形のキャンバスに描かれたタブロー。
モンドリアンのタブローからその絵画群からモビールの着想を得たカルダーのエピソードを感じさせるような、流動的な配置がなされている。(タブロー自体は、モンドリアンというよりも、彼らの仲間たちのグループの新造形主義のテオ・ファン・ドースブルフの斜行するキャンバスのよう)
その構成が作家自身によるものなのか、キュレーターによるものなのか、もしくは会場に来訪した観客によって可変化されても構わないかのような、ラフな組み立て。
額縁的な支えるフレームは無いけれど、キャンバスを置く為の白い台座含めて、キャンバスを支えている筈の背景の壁や床、ギャラリーの空間自体が、キャンバスの自由な流動性によって、不変項的な印象を感じる。

GALLERY ZEROは初めて行きましたが、小さなギャラリーのスケール感が、私が20代の頃によく個展をした信濃橋画廊のエプロンに似ている感じがして、とても親近感が持てました。
オーナーさんがとても詳しく解説してくださったので、理解も深まりました。
the three konohanaで拝見した時の作品は、どこかディスティルのようなモンドリアン(もしくはテオ・ファン・ドゥースヴルフ)のような、印象がありましたが、今日の作品はまったく違う傾向のもので、ちょっとビックリしましたが、でもよくよく観てみると、やはり同じアーティストとしての、作品イメージが伝わってきました。
様々なモダニズムもしくはミニマリズムのアーティスト達の作品、ではなくて、何でかその額をタブローで描くという、ユニークなものでした。
作品そのものをトレースすると、盗作となってしまう可能性がありますが、ではその額をトレースしたら?
というのは、とても興味深いテーマですね。
地と図の境界線にあって、図を支えているようであるけれど、額が存在することで、地を規定しているようにも見えてくるような、特別な存在ですね。
ステラの額は、ステラの作品と言っても良いようなテイストのものでしたが、やはり額縁というテーマに沿って描かれていて、とても微妙な印象がありますね。
(これを読まれた、ギャラリーの高森さんからのご指摘で、ステラではなく、クレーの額でした。思い込んでしまいました)
地と図の中間体のような額をフォーカスして、それを図として描くこと。
他に、小さな水準器を模した作品も。こちらも、環境(地)を測るものでそれ自体注目され難い存在ですが、あえて図として切り出す事が意図されている印象。
(それと、会場で気になっていましたが、ギャラリーの方にこれも作品ですかと尋ねる事を躊躇してしまったのですが、ネットで検索するとやはり作品だった、段ボールの作品も、図を梱包する地の転化でしょうか)
とてもユニークな展示でした。