「リアリティとの戯れ ‐Figurative Paintings‐」

午後、なんばパークスへ行き、カーチャン母校の大阪芸大さん主催の「リアリティとの戯れ ‐Figurative Paintings‐」展を観てきました。7名のアーティストは大阪芸大出身の1980年代生まれの方たち。

「リアリティとの戯れ ‐Figurative Paintings‐」
http://www.osaka-geidai.ac.jp/geidai/whatsnew/art_exhibition/data/program.pdf
大阪芸大HPより引用

アーチャンへのアートセラピーとカーチャンの障害者会館での美術教室のネタ探しを兼ねて、ワークショップ参加するのを目的に行ったのですが、展覧会自体がとてもユニークなものだったし、楽しい出会いもありました。
会場で作品を観ていると、1人の男性から声を掛けられ、振り返るとYODギャラリーの方?(この展覧会のキュレーターされた山中俊広さんでした。何度かギャラリーに行った際にお話する機会があったので、僕はこの方はYODギャラリーのオーナーさんと勝手に思い込んでいましたが、聞くとキュレーターされていたそうで、今年からはフリーで活動されているそうです)
今回の展覧会がフリーランスになって初めてのキュレーターのお仕事らしく、詳しく主旨をお聞きする事ができました。
1980年代生まれのアーティストを選ばれた理由として、95年頃の彼らが青少年期に経験した大きな社会的事件やエヴァンゲリオンのような内向的なアニメーション等のイメージの影響がはっきりしていることがあるようです。
私自身は年齢的にはずっと上ですが、独立したのは95年だし、年末退職して2週間後にあの阪神淡路大震災に遭遇し、人生観大いに影響受けましたから、そこから類推するに、その時15歳くらいの彼らにとっては、幸か不幸か分りませんが、あらゆるものが揺らいでいるような、そんな経験がベースになっているのだと思います。それ故か描かれている作品世界に共通して感じる夢分析のような、断片的で不安げなイメージ。彼らにとって、おそらく描かれた作品は自分自身の無意識世界を視覚化するものでもあるだろうし、しかしその深い意味は自分自身でも捉えきれないところがあるような、仮縫いのような状態で表現は留まっている。個人的な経験の吐露のようでもあるが、こうしてキュレーターのアイデアによって集合し、ギャラリー空間に置かれて観られる事で新しい経路に開かれていくような予感もある。その時にやはりキュレーターさんの役割はとても大きいものと思います。
会場でアンケートがあったので、僕は感じたまま書き込みました。
娘のアーチャンのように脳に変異があって、明らかに視覚認知の観察者中心座標系がうまく機能していなくて、構成障害のような固定的な焦点を持った絵画や重なり図が描けない人のアート(いわゆるアウトサイダーアートやアールブリュットという括りの)を継続して見てきたので、ナチュラルに構成障害的な表現のアートと、その魅力を意識的に取り入れて構成障害的表現を構成しているようなアートの違いみたいなことを感じ易くなっているし、常に頭から離れない意識のようになっている。そして、少しずつではあるけれど、それらは峻別可能だし、分類されるべきものなのかもしれないし、構成障害的表現をある意味偽装しているようなアートと言ってしまうと比喩は適切でないかもしれないけれど、その偽装のようなものに、ある意味で希望のようなものが見えてこないかと思い始めている。
むしろ観察者中心座標系をいかに壊す事ができるのか、どのような方法があるのだろうか、そのような探索に深い意味(リアリティ)があるのではないか、そんな風に思い始めている。
それは逆にアーチャンへのアートセラピー通じての、観察者中心座標系の変異から、いま、ここ的感覚の獲得への介入の、こちら側からのジャンプのように。
思い始めていると言うより、この展覧会の作品群を見つめていて、その思いがより明瞭になってきたという感じかもしれない。会場でのアンケートには、「偽装ではないかと感じる」と少し否定的な言葉で終ってしまい、その次の言葉がうまく出てこなかったので、帰宅後、その思いに加筆修正し追記しているのかもしれない。
特に、今日のショッピングバック作りのワークショップも開催してくださった、田岡和也さんの作品の、天地や対象物の方向感を意識的に撹乱させたイメージを見つめていて、ヒントを得たように感じました。ワークショップでアーチャンに丁寧な対応してくださり重ねて感謝です。

田岡和也さんのショッピングバッグ作りのワークショップに妻子は参加しました。
既製の紙製のショッピングバッグに様々な色紙や写真の切り抜き、スパンコールなどを貼り付けてデコレーションしていきます。
アーチャンはこういうハサミを使って切り抜いてそれをまた貼って系が大好きで、1時間くらいずっと没頭して制作していました。
カーチャンと並んで制作。

そして完成。ありがとうございました。