「こどもプラスプラス」辺口 芳典「写ルンです」ワークショップ &写真展

今夏に家族で参加した「写ルンです」展&ワークショップの記録。
なかなか書けなくて、ようやく9月末に記録します。
2回のワークショップに展覧会で発表会、TV取材受けて放送されたりと、様々なかたちで記録されたり、参加者同士のコミュニケーションがまるで家族のように深まったりと、今までに無いような濃いアート体験となりました。
辺口さん、谷川さん、改めて感謝です。

辺口芳典「写ルンです」ワークショップ
https://www.facebook.com/events/273959562742124/

アートスペースジューソー
http://www.artspace13.com/

新・福寿荘内にあるアートスペースジューソーさんのオープニングの増田泰斗展の際に、ギャラリーオーナーの谷川さんに、このワークショップに誘っていただいて参加することに。
春頃に中之島にあるdesigndeさんでの障害者アート展の際の写真ワークショップ「お散歩カメラ」でアーチャンとても楽しそうにカメラ扱って撮影していたし、写真体験もそろそろ良いかなと思っていたので、良い機会となりました。
ワークショップ初日の7月6日の記録
(ブログにワークショップ初日の様子をすぐに書き込んだのですが、展覧会前だとネタバレになるので削除していました)

写ルンです」というフィルムカメラ使ってのワークショップ。
最初に辺口さんのプロフィールお聞きしましたが、高校生の頃まではスポーツ青年だったらしく、でもケガで断念し目的も見失っていた時期に写真表現に出会い、以降創作活動継続して来られたとの事(かなりざっくり略してます)
写真は自分の関心がどこにあるのか、何を見ているのかを確認できるところが良いと、また何故写真なのかと過去に問われた時に、率直に「写真は楽しいから」と回答されたそうですが、今日も参加したアーチャン含めた子ども達の写真撮る姿や興味のあり方にずっと目を向けて、一緒に楽しんでという感じでした。
そもそもワークショップとは何なのかという話とか、ワークショップの主旨説明受けながら、我慢しきれない子供達にチェキで撮影させて写った写真でまた盛り上がったりとジグザグな感じで進みました。
それから街に出て撮影しました。(我家はアーチャンのみ撮影参加予定で夫婦はフォローの予定でしたが、参加人数が我家3人とあと子ども2人と連れてこられたヘルパーの大人1名と少なかったこともあり、急遽夫婦も撮影参加することに。ギャラリーの谷川さんも参戦)

来週現像出来上がったら2枚選んでキャプションも考えてということなので、ワークショップの記録を兼ねて以下の文章でキャプションの元にしてしまおうと思う。

この新・福寿荘のある場所は、最近再開発で変貌の激しい阿倍野と衰退の一途の西成区とのちょうど境界線の位置に有り、東を向くと市大病院やハルカスなどが見え、西を向くと老朽家屋の立ち並ぶ独特の光景と、もの凄く対照的な雰囲気のところにあるし、ここをアートスペースにされた理由もそこにあるのだろうし、今日の撮影スポットとして選ばれたのもそこに尽きると感じます。
わたしは急に撮影ということになり、何も考えて無かったので、当初の予定通り、アーチャンのフォローしようと思い、「撮影しているアーチャンを撮影する」でオートマチックに撮っていましたが、そのうちあまりに親バカやんと思えてきて、何か撮ろうと思い直して、それでハルカスが変テコリンに見えてる光景を撮り始めました。
ハルカスの外観デザインを担当されたのはシーザーペリ事務所(中之島国立国際美術館谷町四丁目のNHK&博物館も同じ)
わたしがサラリーマンだったバブル期に社費で団体さんの海外建築見学ツアーに行かせて貰い、イエール大学見学の際に、大学で教えていたシーザーペリさんの事務所訪問があり、その温かい人柄に接して、その作品も敬愛するように以後なっていましたし、最初はカッコ良いシーンでカメラ構えたのですが、何かちょっと違う気分になってしまい、で変テコリンに撮ってやろうと(シーザーペリさん、本当にすいません)
本当は、この周辺は上町断層がすぐ近くにあり、これだけの複雑な地形もその影響によるものと思われるし、断層の痕跡が撮れないかなとも思いましたが、平和な日常の光景を見ているうちにそのような思いも消えていきました。
街での撮影を終えて、新・福寿荘に戻り、休憩。
とても蒸し暑かったし、アーチャンや子供たちは既にフィルム使い切ってたので、室内撮影は主に大人だけで、子供たちは探検したり、ゴロゴロしたり、チェキのモデルになったりして遊んでいました。
わたしはまだフィルム半分あったので、アートスペースジューソーさんの前回の増本泰斗展の時に感じた建築の三層構成と意識から無意識の流れとの類縁性みたいなものを新・福寿荘の断面から写し取れないかと思い、あちこち巡りました。
それと同時に、だんだんと細部に目が慣れてきて、小さなクラックと、それと過去にここに住んでいたであろう住人が、その小さなクラックからいろいろイメージを感じてそれをなぞりながら、いたずら書きしているのが面白くて、そういうのを撮っているうちにフィルムが尽きて終りました。
来週、現像が出来てきたものから、2枚選んでそれにキャプションも考えてひとつの作品にするらしい。現像の出来上がりがとても楽しみですね。その辺りはすぐに確認できるデジカメと違い、待つ時間ができる面白さですね。
また来週、よろしくお願いします。

そして、7月14日に2回目のワークショップをしました。前回のワークショップで撮影した周囲の街の光景などの写真がサービスサイズにプリントされていて、そこから参加者各自が一番良いと思う写真を選んでいきました。
そして、辺口さんが詩的なメッセージをその写真にプラスする為の手掛かりとなるように、いろいろな質問があり、それに書き込んでいきました。
「好きな言葉は何ですか」の質疑に、私は我家のアート活動の時のチーム名の「ArtanArt」を書き、それが偶然のミスから生まれたことを記しました。
(ブログの整理用カテゴリーに、アーチャンの作品用にアーチャンアートというのを作ろうとして、arthanartもしくはarchanartとすべきところ間違えてartanartとしてしまったのですが、ふと見ると「アータンアート」であり、「アートアンアート」と同語反復な、アートがアートみたいなユニークなものとアーチャンとが合成されていて、面白いなと思ったので、そのまま使ったという流れ)
それと、別に辺口さんが良いと思われた写真を1枚選ばれて、それを展覧会当日に参加者は知るという、ずっと参加者も展覧会の全貌をよく分らないまま、少しずつ辺口ワールドを探検していくような感じで進んでいきました。

そして、展覧会ははじまり、8月3日に発表会をしました。
その時の記録もそのまま転載します。

午後、新福寿荘のアートスペースジューソーへ行き「辺口芳典朗読会+子ども作品発表会」に家族で参加してきました。
わたしの中学校以来の友人も来る予定が仕事延長で残念ながら来れず。アートにあんまり縁の無い彼のような視点で見た時の感想も聞きたかったが会期中には来て欲しいな。
4時過ぎにゆるゆると始まり、発表者が辺口さんと我家3人と子供の里の2人と谷川さんの合計7名に対して観客は3名だったし、ずっとゆるゆると進行。
今日も関西TVの取材があり、8月27日のニュースアンカーのアンカーズアイで放送予定らしい。

アンカーズアイ
8月27日放送 〜変わらない町の新しい魅力〜
http://www.ktv.jp/anchor/feature/2013_08_27.html

辺口さんのこと全く知らないまま企画やワークショップに参加したし、谷川さんの狙いどおりというのか、「辺口さんが父性愛に目覚めるの巻」みたいなところの話とか、進行形で分かって来て、とても楽しかった。
最近私が考えていたこととして、少し言葉としてもまとめてみたのだけれど、「生き延びる為に意識は瞬時に世界を分離していき、無意識はそれを緩慢に結合していく」という視点で展覧会の写真を見ていくと、一枚一枚の写真がちょうど世界を切り取り分離していく作業のようで、辺口さんの編集作業によって集められたまとまりが、緩慢な結合のように思えてくる。
「自分の詩の方が道路作るより価値がある」にはちょっと感動。たしかにプラトンの対話編は今でも読み続けられているが、プラトンの時代の道路など、跡形もないだろう。
辺口さんが詩人としての覚悟、強い意志で発信されるのは、現実に生じている「今ここ」的感覚への共感/違和感と同時に、生き延びるために意味や無意味を生成し続ける、こころの強度があるからに違いない。
記憶に残る展覧会に参加できたことに感謝。

写真作品は肖像権のこともありますので、あまり大きく個別にはアップしませんが、こんな感じでした。(ギャラリーの転載許諾済)
各人が撮った写真は全てサービスサイズにプリントされ、それを各人毎にまとめて壁に展示されています。
アーチャンの写真群。ほとんどサポート無しでしたが、自分の好きなものを撮っていました。

窓下の左側が私の、右側がカーチャンの写真群。

そして、セレクトした写真を拡大して展示している様子(床近くは来場者の方の顔が写りこんでいるので画像をカットしました)

以降の画像はギャラリーの谷川さんからの提供のもの。少しバイアスの掛かった撮影方法ですが、雰囲気がよく伝わります。

アーチャンの写真
アーチャンが選んだベストショット

辺口さんが選んだベストショット

カーチャンの写真
カーチャンが選んだベストショット

辺口さんが選んだベストショット

私の写真
私が選んだベストショット

辺口さんが選んだベストショット