鎌田 幸二作陶展

河合晋平博物館を見てから、同じフロアーの奥にある、美術画廊へ。現代アートから伝統工芸まで何でも見ますの我家ですが、NEXTのところからここへ入るには少々バリアーがあるようにも感じてしまう。アーチャンの大きな声も響き、メモ帳に描き始めたりして、恐縮しながらも、天目の素晴らしさに吸い込まれそうになり、アーチャンの事はホットイテ見つめている。
ホームページには作者のコメントとして「天目は釉の中の鉄の微妙な変化や窯の中で発色や表情が大きく変わり悩まされ続けていますが、それを楽しみながら造っています」とあり、このような境地に至るまでに、いったいどれだけの試行錯誤があったのか、想像を絶する試みがあったに違いないだろう。
釉薬と土の性質に対する科学的な分析、造型感覚、茶道などの修得、その他様々な様式が混合されているような。
僕が銅版画をよくしていた頃に、腐食留めのグランドが乾燥及び加熱の過程で微細なクラックが入る事があり、本来は好ましくないノイズの類であり、消されるべき表現であるのだけれど、そこに生成のメカニズムを感じて、テストピースを作り、一定条件で再現性のある事を確かめて、表現の一つにしていった経験があるけれど、おそらく天目の鉄釉の開発は、そのような微妙な偶然生じたものへのテイストを、複数の人間、異なる領域の人々が共有して、高めていった物に違いない。本家中国では、そのような稀な表れの表現はあまり評価されなかったのか、破片さえ現存していないらしい。

鎌田 幸二作陶展
高島屋なんば店美術画廊
http://www.takashimaya.co.jp/osaka/gallery/index.html