小笠原周『FIGYA エキシビジョン』
ASYLの次にthe three konohanaとFIGYAへ行きました。(the three konohanaは小松原さんの個展再訪)
杉山卓朗さんは以前、YODギャラリーで個展(山中さん在職時に)されたらしく、the threeの小松原さんの作品とも根底で繋がっていると感じましたし、山中さんの視点に改めて敬服。
FIGYAでも展示していると教えていただき伺いました。
小笠原周『FIGYA エキシビジョン』を観ました。
まったく知らないアーティストさんでしたが、在廊されていて、mizutamaさん、山中さんも交えて、いろいろお話お聞きできたので、理解ができる部分がありましたし、いくつか共感できるところもありました。
通常はゴム版など柔らかい素材で作るはずの年賀状の版を、あえて大理石みたいな固い石で作り、刷り上った年賀状(色をいくつか変えて)をホッチキスでラフに壁面に留めたものと、石の版自体とが展示されていました。
たしかに、私も銅版画をしていた時、刷り上った版画と同じかそれ以上に、版そのものの魅力を感じた事がありますし、特に酸を使っての腐食のプロセス自体の感覚を作品に投影したこともありますが、ギリギリのところで、版自体の展示はとどめてしませんでした。そこには大きな落とし穴が待ち受けているような不安がありますし。
でも、小笠原さんは、あっけらかんとやってしまう。下書きした自身の線を彫りだすことへの執着など、尋常では無い印象もある。でも石が欠けてしまう恐怖とも闘いつつらしく、そこは共感できますね。
奥の小さなスペースには、アニメキャラからの波動の連続体の石のオブジェが3個置かれていました。石自体も異様でしたが、その梱包というか搬入用の仮枠がそのまま外されること無く置かれていました(これはmizutamaさんのアドバイスらしい。説明聞かなければ、これが仮枠とは直ぐには理解出来ないような、有り得ない材の組み方に、小笠原さんの本質が現われていると私も感じましたし、mizutamaさんの視点もユニークだなと思います)
仮枠のような、もしくは台座が暴走して作品を隠蔽してしまったような。
持ち込んだほとんどの石の作品を、展示せず持ち帰ったそうですが、個人的には最初の個展ということだそうですし、ありのまま空間を占拠するかのように展示されても良かったのかもと空想しました。