ORGANIC RELATIONSHIPS
午後、家族で、知人の小谷廣代さんのお店シェドゥーブルへ伺いました。
シェドゥーブルとCenter for COSMIC WONDERとで同時にORGANIC RELATIONSHIPSという企画展開催されています。
ORGANIC RELATIONSHIPS
反復反響する次世代へ
http://www.cosmicwonder.com/news/
最初に、シェドゥーブルの企画展を観ました。こちらは武田晋一さん&小谷廣代さんで、サブタイトルも少し異なっていて、「身体から透明性 イマージュ」とありました。
武田晋一さんの作品は少し前に、ここでの個展で拝見していて、不安定な構築のあり方が面白くて印象的だったのですが、今回の展覧会もそのイメージを感じさせていて、なおかつ身体的なスケール感、空間や人へのフィット感のようなものがより強く表れていました。
合板を組み合わせて作られた四角錐を4個積み上げた4本の柱とそれを頂部で繋ぎとめる木製の板。この板もいくつかのピースに区分されていて、つなぎ目は丁番で折り畳み可能になっている。板の長さは会場の開口部の高さから自分の身長を差し引いた部分で分割したりと解説聞かないとまず分からない隠れた仕掛けがある様子。作者は搬入時、四角錐(重ね収納ができる)と板をコンパクトにまとめて背負って、展覧会直前に来て配置されたらしい。そのような搬入スタイルへの拘りもある様子。四角錐を4個積み上げた4本の柱を見ていると、瞬間的な視覚認知数のスービタイジング的なイメージ連想する。
Subitizing
http://en.wikipedia.org/wiki/Subitizing
Judgments made for displays composed of around one to four items are rapid四角錐を4個積み上げた柱を見ていて、何となく学校の体育館にある跳び箱を連想。跳び箱もその積み上げた高さによって、跳べる高さの時には親和的なイメージを感じるが、自分の飛び越えられる能力の限界、閾値をわずかでも超えた途端に、絶壁のように立ちはだかり、打ちのめされたような怖さを感じたりする。
会場の展示物としての組み上げられた箱の柱は、ちょうど人間の身長に馴染むような高さになっていて、親しげであるが、構成自体は強度があって、両面性が感じられる。少し前に国立国際美術館で見た、エミリー・カーメ・ウングワレー展の、ウングワレーさんが仲間達とボディペインティングしている様と、並べられた数枚の縦長のタブローとが同じ波長のように親和的であったこと連想する。
オブジェが人体よりも大きい場合、ランドスケープと人体との中間体のようなイメージを与え、そしてそれはメタな視点を誘導して、オブジェと人体とランドスケープというような関係性の循環から、存在の意味を規定する循環のようなものへと、メタ化の無限循環を誘導するように感じる時がある。最近の現代アートを観ていると、そのようなメタ化の無限循環の息苦しさを回避する、そのような回避自体を方法化しているような、それを前面化して作り続けるような作り方があるように感じているけれど、今日拝見した作品においては、微妙にその境界線上を、人体スケールの閾値を試すかのように仮置きされている。
小谷廣代さんの作品は銅版画3点と横長のタブロー1点。銅版画は、雁皮(がんぴ)紙という薄い和紙に刷られていて、なおかつそれを壁にぴたりと直接貼り付けるという大胆な方法。壁の地の部分は薄く紙を通して透けて見えている。ある意味究極のフィット感とも言える。壁の一部と化してフィギュアでもありグランドでもあるような。
横長のタブローは、個人的なオマージュ(一昨年亡くなられた小谷さんのお父さんのベッドをイメージして作られたものらしい)
シェドゥーブルで展示拝見して、お茶を頂いて、それから、Center for COSMIC WONDERさんへ歩いて行きました。
Center for COSMIC WONDERでの展示は個人とグループ併せて7組が出展されていました。シェドーブルと同様、ショップとギャラリーは一体になっています。こちらの方がより混在度が高いですね。コンセプトはかなり抽象的なテキストなので、難しいのですが、会場構成はとても強い印象が残りました。
木村友紀さんのNYの高層ビルの窓から漏れるフラッシュの光と、モンタージュされた穴から覗く眼球のまばたきの映像は、作品を観るというより、こちらが見られている、監視されているような、公共空間での振舞を促すような効果が感じられ、顔/カオス的なランドスケープ、人体と人体を超えるスケールとの付き合い方について考えさせる作品。振舞と目画像の関連研究
Effects of eye images on everyday cooperative behavior
http://www.staff.ncl.ac.uk/daniel.nettle/ernestjonesnettlebateson.pdfJUE AND ANOAさんの、サウンドインスタレーションは、宙吊にされた2個のスピーカーと小さなモニターの映像から、何か分かりませんが様々な音が、繰り返し同じ音が流されています。天井からいくつかの岩や板切れ、金属の板などがこれも宙吊にされていて、顔のない人形劇のような、少しシュールな光景。
映像を使った作品群の会場構成で、よく会場全体を真っ暗にして、映像に集中させる、日常から切り離すような構成が見られますが、ここでは会場自体が真っ白のペイントのみの躯体が露出していて、取り組む姿勢に共感。