こころの未来研究センターにて療育

午後2時30分から京都大学の、こころの未来研究センターにて療育を受ける。今日もいつもの担当のITさんとOGさんお二人で見ていただきました。今日はアーチャンの通う小学校の特別支援教室の先生も一緒に療育の様子を見ていただきました。
その後で担当のITさんとアーチャンの現状と、発達の遅れているところなどについて情報を共有する為、少し時間を取っていただきました。丁寧な対応に感謝致します。

今日の課題
1、パソコン課題 
2、カタカナ 単語 
3、かたちの模写
4、かずとおかねクイズ

療育の部屋の奥にプレイルームが備えられていて、僕達夫婦はそこで待機。

今日の療育内容(一部省略、下記にランダムに記述)
療育の後で担当のITさんと情報共有の為に話し合いの時間取っていただきました。
(以下特記なきコメントはITさん、Q1=支援の先生、Q2=親)
1、こころの未来研究センターの概要説明
2、アーチャンの今までの療育と現状について
ここで療育を受けている子ども達は、年度はじめに読み書きの能力のチェックの為に読み書きスクリーニング検査を行なっている。
昨年は4年生の課題(読み上げたテラやサンスウなどをカタカナで書く)がほとんどできなかった。そこで、遅れているカタカナ中心に療育を行なった。
Q1:学校では表現としてカタカナ表記のもののみカタカナで書かせているので、テラなど普段はカタカナで書かない馴染みのない表現であることが影響していたのでは?
IT:現在ではなじみのない無意味語に近いものもある程度書けるようになっています。

パソコンを使用した単語と文章課題では、単語とモニター上に「そとで ひを もやす」等の文章と音を表示し、キーボードの文字を探して書き写す課題に取り組みました。書字にかなり時間が掛かっている。1文字押すと全体の文章が消えるパターンでは、後の文章を思い出せない場合があった。アーチャンの場合、短期記憶が弱い傾向があり、3個程度の容量であった。現在、2分節目まで記憶することができつつある。
最終的には音だけ聞いてキーボードを打てることが課題。
Q1:学校では教科書、黒板の文字等全て縦書であるが、パソコンモニターは横書きであり、影響は無いでしょうか?また、分かち書きの表示があると、一つの分節入力して、空白があるので、次の文節を忘れてしまう場合があると思われる。
IT:強いこだわりのある子供さんの場合、表示を縦書にする事も行なっている。
分かち書きの空白を入れることによって、分節を分けて意味を一まとまりとして分かり易くしている。
Q1:高学年の教科書では空白の無い表現が多くなっていく。

今日の療育での、かたちの模写の課題では、ドットをつないで出来る形の模写があまりうまく出来ていなかった。そこから、画数の少ない文字や漢字でも形の理解が難しい状態ではないかと思われる。
Q2♀:漢字の書き取り自体は好きで、むしろこだわりがあり、家で漢字書き取りの宿題を何日も掛けて取り組んだり、登校前にいつまでもやっていて遅刻したりしている。

IT:文字をまとまりとして、認識することが難しい状態と思われる。例えば「多」という文字が「タ」が二つ並んで出来ているという具合に理解ができると記憶の容量も負荷が減る。書く容量が増えて負担であれば、1画減らして提示したり、2画減らして提示する方法も良い。最初の1画目から全部を自力で描くこと(フォワードチェイニング)が負荷が大きくて困難な場合、ある程度のところまでは誘導してかたちを示して最後のところを本人に完成させるやり方(バックワードチェイニング)の方が、発達障害のある子供には効果的である。
このやり方は、学習面以外のことにも応用可能。
例:後片付けが出来ない子の場合、最初に親が有る程度片付けて、最後の何個かを本人にやらせる事で達成感を得る事もできる。

Q2♀:授業中、黒板の文字を書き写すのが時間が掛かり、休み時間にもまだやっていたり、次の授業に重なったりして、ある程度は先生が待っていただいていますが、他の子供さんにも影響が出てきている状況。
Q1:ノート写しを努力している感じ有り。全て写す事での達成感。

Q2♂:先日の学習参観で、社会科の発表でアーチャンのグループは、オーストラリアについて調べて発表。このあいだ、南港野鳥園でのイベントで、アーチャン好きなコチドリなどの渡り鳥がオーストラリアからくる事をレンジャーさんから聞いて、学習したことと結びついて、とても喜んでいました。そのような、学習したことと、いろいろな出来事とを結びつけて、喜び感を生むような関連付けの作業が必要と感じました。

IT:エピソード記憶は良い傾向なのでは。好き嫌いの感情を司る脳の部分と記憶の部分はとても近い関係にある。フラッシュバルブ現象と言って、アメリカの9.11事件の日のことを経験者に聞くと、その日の出来事をとてもよく記憶しているように。

また、文字と音を認識する時に、知らない知識を経験する時は、1文字ずつの理解となるが、そのような文字と音を変換する脳の領域の角回で処理するルートと、その情報に慣れてくると、文字も音もイメージをまとめて記憶する37野という領域で処理するようになっていくが、アーチャンの場合は、この37野の領域へ情報が行くという段階になっていないと推測できる。まとめて認識する事がNGな状態。文字を組合せや意味のまとまりとして説明して理解できるように。

Q2♀:昨日の療育園での計算問題は、今まで出来ていた算数のレベルのこともできなくなっていた。算数拒否状態。

IT:一度学習した事も、時間がたつと忘れてしまう傾向有り。しかしカタカナの継続しての学習が効果あったように、繰り返し取り組む必要有り。

Q2♂:漢字やカタカナの場合、こちらでのIDさんとの交換日記や、学校のお友達との絵手紙など、その後で人とのコミュニケーションに使えるので、その喜び感が大きいのではないかと思う。算数も同様に、そのような喜び感につながるような仕掛けがあれば持続できるのでは?

IT:確かに、カタカナの場合も、課題に取り組んで点数が出ると、こちらで誉めるので、達成感があり、それで持続できる点もある。

Q1:現在学校ではクラスへの加配のみで、支援教室へは今後。
漢字ドリルやめない時、本をこちらで閉じたりすると抵抗有り。
席にはきちんと座れている。
他の子と同じ課題をやりたい気持ちは強い。

IT:他の子と同じ課題やりたいという事であれば、類似課題でレベルを下げて取り組む等有効。理解できる課題が授業の中で減ってきているのでは無いだろうか?基本的なスキルの療育必要な状態。

Q1:学校での様子、行動はとてもゆっくりとしている。
Q2♀:家では帰宅後に手洗いやうがい、着替えなどの今まで出来ていた基本的なことが出来なくなってきている。原因として眠さや体力的な疲れなどもある。

IT:確かに4年生以降は、学習障害以外での問題が多くなってくる。発達障害だけでなく環境の影響による二次障害も注意必要。
いくつかのアドバイス
良い行動に対しての報酬=物<人からの誉め言葉
遅刻しなかったり、着替えがスムースに出来た時や、良い行動が出来た時に丸印して、丸印が溜まったら御褒美がもらえるルール(トークンエコノミー)も有効。
学校とのリレーション、こちらの施設とのリレーションも情報共有して可能では。
この方法のより良い点は、すごく軽い罰をつくることも出来る点(レスポンスコスト)にある。
悪い行動をした時には、○印を消すルール作っておく。そうすることで、親の側も感情的に怒らなくても済む契機になる。
Q2:トークンエコノミーの方法については、小学校とのリレーションは他の子供さんとの関係もあるので、テスト的にこちらの施設との協働を進めたい。

以上で終了、丁寧な対応感謝です。