中嶋雄二展

知人の中嶋雄二さんが信濃橋画廊5で個展されているので、家族で伺いました。
信濃橋画廊にある3つのスペースで、中嶋さん以外に、呉本俊松さん、森田浩一さんが個展されていましたが、顔や人体のイメージとそのスケールへの意識などに共通したものを感じました。
会場は、連休中の街の賑わいや水都大阪2009のようなイベントの賑わいから切り離されたような静けさの中にありますが、これらクオリティの高い作品を見ていると、現代アートと社会とをつなげていく回路はもっとたくさんあって良いし、その可能性の余地はたくさんあるように思いますね。

中嶋さんの作品は、小さなレリーフのフィギュアを中心に、そのフィギュア自身もまた完全な形では成立していなくて、絵具のチューブのように押されて平面化している胴体であったり、顔が削られていたりする。またフィギュアの脚などの部分が写真に写され、人体のスケールを大きく超えたサイズにプリントされたものへ、上からドローイングが加えられたりしている。顔や人体は、日常的なスケールからどこまで逸脱しようが、文字や言語のように、統一的に顔や人体であり続け、他の物とは明解に峻別されていて、私たちの感覚が混乱しないよう、どこかでプログラムされているのであろうか。鉄板の上に描かれた、顔と上半身だけの人物が、布を纏っているような感じで、白い絵具で覆われている。白い絵具は周囲へと薄く伸びていて、顔的な様相がそのまま地続きでカオス的なものへと繋がっているかのようである。

中嶋雄二展 対峙・接触・交感
2009.09.21〜26
信濃橋画廊