松田彰、「言葉のように」展

午前中、北浜で仕事の打合せがあり、帰路本町で降りて、知人の松田彰さんの個展拝見。
基本的な手法は、ベニヤのキャンバスに紙を張り、その上から鉛筆でびっしりと塗りつぶす形で今まで拝見した作品と、同じ流れのものでしたが、作品の並置のあり方が、少し違っているように感じられ、横長のもの二段のグループ、縦長の二列のグループ、正方形の三幅対のものと多様な形式があり、作品同士がつながって対話が生まれている。
三幅対のグループを見つめていて、僕はサッカーやっていた頃の経験を思い出していた。ある時、練習試合で主審した時に、相手チームから出た線審が対角線審判法知らないのか反対のラインに立っているので、移動するように言うと嫌がってしまい、仕方なく僕が本来左対角に走るべきところを右対角に走るはめになってしまった。僕もへそ曲がりなところがあるし、徹底的に反対に走った時に、今までと全然違って見え難く、これは何だろうと鬱屈としていた気分が変わり、目の前の光景がまったく違って感じられるようになった瞬間のことは今でも忘れる事ができないでいる。左対角に走ること、そして見えてくる光景が人間にとって馴染みやすいものであり、故に対角線審判法に取り入れられているんだと実感した。見えてくる世界は常にバイアスが掛かっているという事を理解したとも言える。
松田さんの三幅対の作品の黒い削られた左対角の線の連動の中に、その時の鬱屈とした僕の心と、見えてきた新しい光景によって、心が晴れていく感じのところがシームレスにつながっていく経験と同質の物を感じました。

松田彰、「言葉のように」展
2009年3月30日(月)〜4月11日(土)
AM11:00〜PM7:00(土曜日PM5:00)日曜休廊
信濃橋画廊