こころの未来研究センターにて療育

午後3時から京都大学の、こころの未来研究センターにて療育を受ける。いつもは土曜日の予定ですが、今日は予定変更してしていただきました。
担当のITさんとIDさん、2名の方で見ていただきました。

今日の課題
1、パソコン課題
2、ひらがな再生課題
3、おおきいのはどっち(概算課題)
4、うんぴつ

今日も療育はアーチャン一人で受けて、僕たち夫婦はスクリーンの奥で待機。

2、ひらがな再生課題では、一文字だけの課題を実施。これはほぼ全問正解(「ぬ」と「ね」は似ている為かこれだけ間違えました)
清音はおおむねできているが、濁音の文字は、元になる文字に点付ける等のアドバイスすると出来るが、まだ少し難しい様子。
でも、雰囲気的に前回(7月12日)から成長の跡が感じられるとの事で、ひらがなについては、これから伸びる可能性ありとの事でした。13日の絵本ワークショップhttp://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20080713/workshopで気に入って自力で読み通した「トマトさん」の良い影響もありそうです。自分で読み通せて自信になったんでしょうね。また絵本作ったり、読んだりして刺激を与えていきたいと思いますね。
3、おおきいのはどっち(概算課題)は、左右の画面に描かれたドット数を比較して、どちらが大きいか回答するもの。これは全て正解したそうで、やはり数概念については大丈夫なようです。「8と2」の場合で反応時間が1.7秒、「6と5」のように差が小さくて判別しにくい場合で2.7秒と少し時間掛かったようです。
しかし、同じ大きさの比較の設問で、それを数字に置き換えると、間違いも多く、「3と2」「6と4」「8と5」「9と6」「6と3」などは間違えたらしく、数としてまだ表象されていない様子だそうです。そこがうまく繋がると、算数の学習障害はうまく乗り越えられるのだそうですから、繰り返し課題をさせたり、身に付くまでいろいろな刺激や日常生活のなかで、足したり引いたり、掛け算や割り算を使いながら、理解させてやりたいですね。
次回は50以上のドット数での比較など、少し課題の負荷を高めて再度実施との事。
4、うんぴつ課題は、くねくね道の真中に線を描いたり等、なめらかに出来た様子。

療育の後、最近僕が気になっている、アーチャンの描く絵のことで、議論してみました。最初は、先日のモナリザのワークショップhttp://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20080721/art2の際の絵のように、図形同士が重なる状態を描けない様子に注目していました。それで、最近描いた絵のデーターをいくつかプリントして並べて見たりしているうちに、重なる画像を描けないことよりも、むしろ、描いている自分を中心にした、視点のある絵を描かない事の方がより意味があるのかなと感じてきました。アーチャンと同じprader-willi症候群の患者さん達の、さまざまな年齢の方が描く絵を見ていても、同様の性質があるように感じられます(でも、データーは個人的に知りえた範囲のみですから、本当に全てのPWSの描く絵に共通した傾向なのか否かは分かりませんが)
少し前に長居の南大阪療育園での療育の際に、テーブルのお皿に料理を並べると言う課題に対して、回答者側からのアイソメトリックパース図に従って配置するのではなく、座っている人の向きに対して、正対する形で、何の躊躇も無く並べたので、とても不思議に思って、写真を撮って、blog日記にも記録を記述した事http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20070630/artanmemoがあり、自己を中心とした視点のある絵は描けない様子であるが、対象の中心を意識した認知を、何と言うかとても律儀にしているので、そこにこの子達の視覚認知の特性の謎を解く鍵があるように感じられます。
そのことに関して、ITさんからも、とても興味深い現象だし、また以前の検査の線分二等分課題のところで、アーチャンの描いた中心点が、左右にふらついた事を思い出されて、関連性あるかもしれないとの事でした。
イメージの記述、描画には脳の頭頂葉の働きが関連深いらしいので、PWSの場合、そこに変異があるとの研究もありますから、関連研究が進む事を期待したいですね。