こころの未来研究センターにて療育

午前中、青少年会館で陶芸をして、食事後移動して、午後3時から京都大学の、こころの未来研究センターにて療育を受ける。
担当のITさんとFさんと、2名の方で見ていただきました。

今日の課題
1、パソコン課題 ひらがなうち
2、絵をおぼえる
3、ひらがな ことばあつめ
4、いつ?どこ?クイズ

療育の後、担当のITさんから今日の課題のねらいなどをお話いただいた。
今日の課題に対するアーチャンの回答から、視覚面でも言語面でも共通して、対象の全体像に対する認知が強く、細部は無視して認知する傾向があるらしい。
課題2「絵をおぼえる」のところで、小さな「ひ」の文字を並べて作られた大きな「く」の絵を見て書き写しましたが、全体像の「く」のみ描いて、細部の文字の「ひ」は描きませんでした。ITさんから、他に何か見えるかな?と聴かれてから「ひ」を形に添って書き足し始めましたが、自力では最初から認識できていないのではとのお話。
健常者の場合は見たまま「ひ」を並べて「く」を描くパターンが多いらしく、染色体起因の疾患の子供達では、疾患ごとに特徴的な描き方が見られるそうです。その研究によると、ダウン症候群の場合、アーチャンが描いたのと同じように、全体の文字として見えた形しか描かないらしく、ウィリアムス症候群の場合は部分の「ひ」の文字を並べて描くが、しかし全体像としての「く」の形は認識出来ないで、バラバラな並び方になっているそうです。
課題3「ひらがな ことばあつめ」は「か」の付く言葉や「あ」の付く言葉を答えるという単一の文字の課題の場合、こちらでカニさんの真似とかのヒント出さないと、自力で答えるのは出来ませんでしたが、「やさい」の課題では、自力でリンゴとかミカンとか、答えていたので、全体像をイメージしやすいものであれば、反応するが、単一の文字のように部分からの理解は難しい感じでした。
以前からPWSはジグソーパズルが得意という研究はよく聞きますし、アーチャンの場合どうなのか、ジグソーパズル自体に僕達自身があまり興味が無かった事もあり、させていないので分りませんが、研究などを見ますと、PWSの場合、ジグソーパズルの完成像の有無はあまり関係なく、ピースの形のつながりを見つけるのが得意等の記述もありましたので、今日の課題のお話での、全体像と細部との比較検証と繋がるのか、この辺りの認知特性ももう少し詳しく探求していただきたいと思いました。

先日のアーチャンの忘れ物を思い出したエピソードhttp://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20080227/memoryは、これは短期記憶ではなく、短期記憶は非常に短い時間の間だけ残っているものなので、少し違うことのようです。
また、短期記憶は、音や言葉に対する処理と、視空間に対する処理とは異なったメカニズムで働いているらしく、記憶と関連する脳の部分の海馬は、視空間イメージを処理しやすいらしい。
アーチャンの場合、場所の記憶は比較的良く覚えているようですし、PWSの海馬についての研究が無いか、ITさんからも聞かれたのですが、PUBMEDでPWSと海馬の関連について検索しても、あまり記憶と関連する情報は無いようですし、どうしても過食症との関連で視床下部等の研究が中心になる為か、情報は少ないですね。この辺りも今後医療面での研究を進めて欲しいところですね。

療育はまた来週、よろしく御願いいたします。