塩田千春展
モディリアーニ展と同時開催にて、拝見。靴の提供を美術館のホームページで呼びかけていたので、アーチャンの履かなくなった靴を提供しないかとカーチャンに聞いてみたが、あまり乗り気ではなく、アーチャンが今まで履いていた靴はそのままずっと持ちつづけたい様子だったので、参加はしませんでした。
展示室では、提供された無数の靴が赤い紐で括られて、それを一点に向けて絞られていく様が表現されていました。靴にはそれぞれ提供された方のメッセージが思い思いのメモ紙等に書かれていて、そのまま一緒に展示されていました。でも円形状に配置されている為に、外周の靴のメッセージは読めますが、中心に進むにつれて、遠くになり、読めなくなっていきます。それぞれの靴の配置の選択は、作者が何らかの意図をもって行ったのか、それとも無作為に適当に置いていったのか、分かりませんでしたが、円の中心に近づいて行くにつれて、個別の靴のエピソードなどが読み取れなくなり、抽象的な靴として物質として置かれていくようなイメージが感じられ、ここでも普遍と個別の問題が、垣間見えてきました。おそらく靴を提供された方は、全員が思い思いのそのメッセージが観客に読まれることを期待して提供されたのだろうし、その事を通じて展覧会に参加することへの期待感を強く持っておられたと想像し得るが、作者は、とてもドライに、むしろ残酷とも言える方法で提供者を裏切っていて、その暗い情熱が、この作者を支えているものであるのかも知れないと空想した。別室の黒い糸と無数のベッドによる構成等も、暗い情熱に満ちていて、救いようのない闇がそこにはありました。
塩田千春展
http://www.nmao.go.jp/japanese/chiharu_shiota/index.html