「明日の神話」を観る
行方不明になっていた、メキシコで岡本太郎が描いた巨大壁画の再生ドキュメントと、岡本太郎自身の紹介&敏子さんのドラマ。番組全体が無意識のままに制作されたような、脈絡の無い様があって、皮肉ではなく、とても良い印象を感じた。敏子さんの笑顔が素敵でした。
明日の神話」再生プロジェクトのHP
http://www.1101.com/asunoshinwa/index.html
とにもかくにも、壁画をつぶさずに残していたメコシコ人のアートに対する思いは良いですね。途上、さらりと触れていた、岡本太郎が忘れ去られた時代に、旧東京都庁に描かれた壁画が簡単に解体処分されていた事も初めて知る。まだ20代の始めの頃に、旧東京都庁の内部を見学して、薄く記憶に残っている。アートに対する認識の薄さは、この国は考えられないレベルですね。
万博の太陽の塔のエピソードのところも面白かった。フランス遊学時代の秘密結社のシンボルマークのイメージの延長上にあの形があるのではという指摘はユニークですね。
番組では紹介が無かったが、確か、お祭り広場全体の実施担当者さんの顛末記には、太陽の塔に関して、当初は計画には無く、広場自体は方向性の無い空間として、どこからでも入れる場所のイメージだったらしい。それに対して、政府役員からpresidentの席はどこか?みたいな意見が出て、紆余曲折の結果、ああなったそうな。
僕が敬愛する、関西の彫刻家の先生も、ある市庁舎の中庭に設置したセメント製のモニュメントが、建物の増改築に伴って、作家もしらないうちに処分されていたそうだ。(それは岡本太郎のように、強烈な主張を持たない、どちらかと言えば、モニュメント性自体を否定するようなもので、一見それが何であるかさえ、気付かないようなものであったということも一因らしいが)
古墳の壁画の保存に対する志向に較べて、近現代の遺産に対する意識はどこかで切れているのかもしれません。
番組を見ていて、僕が高校生の最後の体育祭の時に制作した応援看板の事思い出した。また何か巨大なアート作りたくなってきた。
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20041217#art