特別展「発掘!モンゴル恐竜化石展」

長居公園内にある大阪市立自然史博物館へ家族で行き、特別展「発掘!モンゴル恐竜化石展」を観ました(ブロガー無料招待に申し込んで、今回もラッキーに当選しました)

特別展「発掘!モンゴル恐竜化石展」
http://www.gobidinosaur.com/
大阪市立自然史博物館のHPより

今回はさらにラッキーなことに、10時30分からギャラリートークがあり、「ゴビ砂漠の恐竜化石はなぜ古生物学者を惹きつけてやまないのか?」をテーマにモンゴルで共同調査に参加されている林原自然科学博物館の石垣忍館長の化石の解説を聞く事ができました。
ファイティングダイナソー(格闘する恐竜)と呼ばれる化石の前で。

モンゴルの大地は大陸プレートの上に位置するので、日本のように変動が激しい場所とは違い、後期白亜紀以降に大きな地殻変動が無く、地層が平なままの状態だったので、化石も細部まできれいに残っているので価値が高いらしい。
肉食恐竜のヴェロキラプトルが草食恐竜のプロトケラトプスのお腹に脚を蹴り込んでいるが、プロトケラトプスも襲われつつも相手の手に噛み付いていて、壮絶な瞬間ですが、おそらくその時にがけ崩れなどに見舞われて、そのまま化石になってという流れであるらしい。(会場にリアルなCGアニメーションでその場面が再現されていて、理解が深まります。ただ、展示場所と離れているので隣接していればもっとよく伝わるのではと思いました)

ヴェロキラプトルのお腹の中に他の恐竜の骨が残されていました。これもほんとに細かなところが残っていました。

その隣にあるプロトケラトプスの幼体15体の集団の化石。巣には卵の殻が残っておらず、少し成長したものらしい。皆同じ方向を見ているし、これもガケ崩れなどで一瞬にして埋まってしまったものらしい。
最後の瞬間をフリーズしたような化石の展示が続いて、細部まで残った化石の美しさに息を飲むと同時に懸命に生き延びようとする幼い命の最後の姿に切ない思いも感じました。

上の幼体群から切り出して再現されたプロトケラトプスの幼体。とても小さくて骨格の化石ですが不思議と可愛いイメージを感じさせます。

タルボサウルスの幼体の化石。首が反り返って折り畳まれている。発掘時の状態を示す為に発掘直後の姿がレプリカとして作られている。化石自体はバラバラにされていました。

サウロロプスは死後に肉を食べられた時に、おそらく最後に脚のところを噛み千切られたのか、骨にキズが着いていて生々しい。

タルボサウルスの大きな化石。

新説に基づいて組直されたタルボサウルスの化石。
当初はゴジラのように立ち上がっての姿がイメージされていたが、発掘調査していくうちに、尻尾の痕跡が残されていない事に気付かれたらしい。そこから立ち上がっての姿からむしろ4つ脚状態で尻尾を立てて歩くのが本来の姿ではないかと考えて、骨格を組み直したらしい。新しい知見に基づいて骨格化石を組み直すという事も今回始めて知りました。

プロトケラトプスの2体の兄弟の化石。こんな風に細かなところまでよく残っています。(同じ種類の恐竜の様々な幼体から成体まで異なる年齢の化石の展示があり変化の様子がよく分るのですが、発掘された場所ごとの展示になっていて、展示は離れ離れになっていました。前回の恐竜の特別展「新説・恐竜の成長」では恐竜の種類ごとに展示コーナーが分かれていたので、考古学の専門家ではない私にはその方が理解がし易かったように感じます)

トリモドキという意味のアヴィミムス。鳥と獣脚類との境目ははっきりしておらず、鳥は獣脚類の一部と今では考えられているらしい。鳥だけの特徴と思われていた尾端骨がいろいろな獣脚類から見つかってきたらしい。

こんな感じで約30分ほどたくさんの化石の解説を聞く事ができましたし、理解も深まりました。詳しい解説感謝です。
会場のあちこちに発掘作業のビデオ映像が放映されていて、化石を取り出すまでの具体的な作業手順も初めて見ることができました。
このような地道な作業が新しい知見に結びつき、人類も含めた生物界全体のアーカイブ作りになっていることは本当に素晴らしいことと感じました。
大阪市立自然史博物館で化石展を過去何度も見てきて感じるのは、そのようなアーカイブ化の積み重ねによって判明してきた、気の遠くなるような長い年月の間の地殻変動や気候変動など、たえず変化流動し生物に影響を与えつづけているという事実そのものに改めて気付かされるところですね。
でも現実に目の前で起きている大震災が地球規模の地殻変動の、その一部にしか過ぎないという風にはなかなか受け取る事は難しい。
それから、前回の「新説・恐竜の成長」展で感じた恐竜の親から子への愛情のような心の動きや、最後の瞬間まで生き延びようともがく命の鼓動を今回も強く感じました。
「新説・恐竜の成長」展はどちらかと言えばエンターテインメント的な演出の面が強かったこともあり、そう感じた部分もありますが、今回のモンゴル化石は演出ではなく、それ故に心に響いてくるものが違うように思います。
特に、巣の中で卵を抱えつつ息絶えたと思われるシチパチという恐竜の化石の美しさに、言葉を失いその前で立ち尽くすことしか出来ませんでした。

ギャラリートークの後、もう一度入口のところまで戻って見ていきました。入場の際に特製のミニノートをアーチャンは頂いて、とても気に入った様子でした。それとクイズラリーにも興味を持って、一緒に答えながら廻りましたが今日は今までに無く積極的に聞いてきましたし、成長を感じました。
内容の理解はアーチャンにはなかなか難しいでしょうけれど、こうして観察してメモを採ってを繰り返す事は大事なことと思います。今日の一番の収穫でした。
骨に触れる展示コーナーもありました。

特製メモに解説を写していました。鳥好きなアーチャンには特にアヴィミムスは魅力的だった様子。

クイズラリーに答えを書き込んでいました。

過去の参加記録もリンクしておきます。

過去のブロガー招待の記事
特別展「のぞいてみよう ハチの世界」
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20120728/event
特別展「新説・恐竜の成長」
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20120311/Museum
特別展「OCEAN! 海はモンスターでいっぱい」http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20110910/Museum
特別展「来て!見て!感激!大化石展」:http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20110703/event
大化石展ぐるぐる消しゴム アンモナイト
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20110813/workshop
「お披露目!博物館に届いた新しい標本」展
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20110429/event