國府 理 展 Parabolic Garden

午後、アートコートギャラリーへ行き「國府 理展 Parabolic Garden」を見ました。
以前拝見した、自動車が解体されてクジラのような動物化したオブジェの時間とともに朽ちていくようなイメージと、少し違っていて、その時間的なイメージはパラボナアンテナを模したような白い巨大なスチール製の円盤に盛られた土と植物によって表現されていました。
動かないオブジェのうち、円筒形の温室のような物の中に、樹が2本植えられていて、定期的にミストが噴射されるように仕組まれている。これを見ていて、僕は子供の頃にTVで見たSF映画「ソイレントグリーン」の、最後に残された植物を保護する為の小さな温室のシーンを何故か思い出してしまいました。映画自体の衝撃的な結末もあって、記憶に残っていたのかもしれませんが、何十年も前の記憶が、ふと見たオブジェによって蘇るところも人間の記憶の不思議なところですね。
展示物の植物がそれぞれ、弱弱しくて、生命力をあまり感じさせない(作者の意図なのか?)ところも、似ていたのかもしれない。
それと、もう一つ、思い出したのは、これも随分前に、勤めていた頃、事務所で中原中也記念館のコンペに参加して、これは落選したのですが、その際に、中原中也の詩の世界を読んでみて感じた、空間次数の連鎖(四次元宇宙的な、透明人間的な視点、それは亡くなった中也の息子への思いなのか、その後の中也の精神的な病)のイメージから、僕はそのギャラリーの天井に樹木を宙吊りにして、支持方法も技術的なフォローもなしに、ただ浮かんでいる状態をイメージして、スケッチしていたことも思い出した。
生命賛歌ではなく、どこか夢心地なオブジェ達。
素晴らしい展覧会、お薦めです。

國府 理展 Parabolic Garden
http://www.artcourtgallery.com/images/exhibition/2010/exhibition_2010_1109_Kokufu.html
アートコートギャラリーより