「純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代-機能主義デザイン再考」

会場に入る前に別室でスライド使った10分間くらいのレクチャーを聞いてから入場しました。とても素晴らしい会場構成、隅々までディーター・ラムスさんのデザインと同質のディスプレイとなっている。最初のコーナーが黒い壁に10個の丸く穿たれた展示窓があり、一つ一つの窓が「良いデザインの10ヶ条」のコンセプトと製品の展示となっている。10ヶ条読んでほとんどノックアウトされてしまった。

良いデザインとは、
1.革新である
2.実用をもたらす
3.美的である
4.理解をもたらす
5.謙虚である
6.誠実である
7.長命である
8.最終的にディテールへと帰結する
9.環境への配慮とともにある
10.可能なかぎりデザインを抑制する

学ぶところばかりで、製品をじっと眺めていました。製品も会場構成も一部の隙もなく決まっているのですが、一つの製品のデザインが決定されるまでのプロセスがほとんど見えてこないで、結果としての製品のデザインの形が、時代の流れによって変化するところから様々な関係を読み取ることに視点が置かれていて、作る側に立つ時に少し物足りない思いを感じてしまいました。スケッチからモデルや試作を通して検討して揺らいでいくところが一番面白いところだし、そのライブ感がそのままユーザーにも伝わっていくと思う。ある意味でそこをクローズしないで、多くのユーザーの参加を要請してオープンにしていくのが現在の物作りの有り様のようにも感じているし、サブタイトルの機能主義デザイン再考にもつながるところと感じました。
ディーター・ラムスさんが所属していたブラウン社のホームページに現在のデザインコンセプトが7つの言葉にまとめられていて、上記の10ヶ条からの変遷がよく感じられます。このうち、特に「機能的であると同時に、感情に訴える」というコンセプトが良いですね。僕も、いつも包摂性のある笑える感じを物つくりの時に意識していますから共感します。

革新性  機能性  識別性  細部にわたる品質  視覚的な明快さ  約束を守る誠実さ  審美性
さらに、「現実世界のダイナミックな状況から、対立価値をも考慮に入れる必要がある」として下記のように多様な考えとなっていますね。

‐革新的であると同時に、自然である。
‐機能的であると同時に、感情に訴える。
‐識別的であると同時に、個性と、世界的に受け入れられることを調和させる。
‐恒久的な品質を誇ると同時に、高水準の視覚的アピールを備える。
‐明確であると同時に、最適条件の多機能を提供する。
‐誠実に、誤った期待を抱かせることなく、みずからの基本価値を肯定する。
‐審美的であると同時に、高度な合理性をも表現する。

ブラウン社のホームページより引用
http://www.braun.co.jp/designs/index.html

純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代-機能主義デザイン再考」
会期: 2008年11月15日(土)〜 2009年1月25日(日)
休館日: 毎週月曜日、12月31日(水)※但し、12月29日、1月12日の月曜日は開館
開館時間: 10:30〜19:30(最終入場は19:00まで)
サントリーミュージアム天保山のHPより
http://www.suntory.co.jp/culture/smt/gallery/index.html