「アート×セラピー潮流」関則雄+三脇康生+井上リサ著を読む(借りる)

フィルムアート社http://www.filmart.co.jp/frame.html本の名前で検索すると内容少し出ます。
アートによるセラピーの可能性に言及した、ユニークな著作。少し過激な記述もあるが現実とはそんなものでもある。
p168井上リサ「臨床美学はいかにして誕生するのか」より引用http://www.t3.rim.or.jp/~lisalabo/

デッサンとは臨床学的行為である。
「健全」神話の下に抑圧された、微細で微弱な輝きを再現する試み。
(中略)
「Die Heilung」は、作品制作中に怪我でできた手の創傷をビデオで毎日記録し続けた作品である。重要なのは、記録し続けるという行為であって、作品タイトルにHeilung(癒えること)としたからといって、私は何ら傷口の完全治癒を期待しているわけではない。むしろ手の創傷がどのような経過をたどるのかを毎日観察し、その情況に追随しながら微量の変化を描いていく行為にもっとも興味をおぼえたのである。これは画家にとってのデッサンという行為に等しいのだ。
(中略)
私にとっては、この「回復」の根拠をデッサンし続けることによって、ようやく「癒える」という状況にたどりつくのである。

「健全」神話の下に抑圧された、微細で微弱な輝き、なんて言われても難しいですが、少し前に書き込んだライフスライスカメラ的な、自分の周囲を無意識機械的に傍観者的に継続的に写し取る作業に対して、ここでは、視線は自分自身に向けられている。そこが共感できる部分である。
障害者のアートについて考える前に自分自身をまず見つめてみる事、それから僕も始めたい。だから、彼女の無意識への視線には共感できる部分がある。無意識との関わりを通じて、いろいろと考えてみたいと思います。
巻末に参考文献一覧がある。また読んでみよう。娘のためと言うより、まったく自分の興味だけですが。

心身障害児の絵画療法 エディス・クレイマー著
芸術療法ハンドブック C・ケイス/T・ダリー共著
表現アートセラピー ナタリー・ロジャース著
他多数ブックガイド載っています。