山下清展

療育の帰りに、カーチャンが今日で最終日だから見ておきたいと言うので、近鉄百貨店で待ち合わせ。
ドラマとかで、断片的には知っていましたが、実物は初めて観ました。最近のアウトサイダーアート的なものへの社会の温かい視線や評価が、山下清さんの再評価に繋がってるのでしょうか?
展示作品の中には、ゴッホの絵の模写と思われる作品もあり、表現もゴッホの影響を強く受けている感じがしました。
ゴッホのあの強いタッチは、ゴッホの日本好みというのか、日本の和紙の包み紙の、縮み加工した感じが好きだったらしく、それを再現しようとして、あのタッチになったという説がありますから、山下清さんの、貼り絵のテイストは、むしろゴッホが具現化しようとしたものの、原型に近いのかもしれないですね。
違いがあるとすれば、ゴッホは、想像するに、動画が現れてくる前後の時代に生きた人で、絵画の作り方のなかにも、動きをいかに表現するかという意志が感じられますが、山下清さんの絵画は、静止画と言うのか、何かの設計図のようにも見えてきます。花火の絵の地面に映る、花火の水平投影図の表現が、そのような説明図的な関係をよく表していました。
少年の頃に、彼が八幡学園に入園して覚えた頃の貼り絵は、昆虫などを丁寧に観察した、優しい感じのものでした。脚の本数も6本あり、羽根の数なども、適当に描かないで、きっちりと細部まで作りこんでいます。プロフィールを読むと、三歳頃に病気が原因で言語障害と知的障害になったとあり、作品の雰囲気も、視覚的には大きな破綻もなく、丁寧に作られたという部分の印象が強いですね。ひとつひとつの部分の理解から、風景の全体像の理解へと広がる様は、絵画を描くというよりも、ひとつひとつのものを、理解して、貼り絵で図鑑の挿絵というのか、設計図を描いているような、そんな風な感触を得ました。

山下清
http://www.d-kintetsu.co.jp/store/abeno/promo/yamashita_k/index.html