三沢厚彦 アニマルズ+PLUS

午後、伊丹市立美術館にて、三沢厚彦 アニマルズ+PLUS展を観る。この美術館は少し前の正月に僕の好きなジャック・カロ展http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20050109/artが開催された時に訪れて以来、久し振りに行ってみた。
美術館の中と、美術館に併設されている旧岡田家の酒造所と邸宅にも作品が展示してあり、特に酒造所の室内の暗くて寒い感じが、作品の雰囲気をより強調していて面白かったですね。
最初に酒造所の方から入ったので、暗くてアーチャンはとても怖かったみたいで、僕が「あっちに何かおるで、トーチャン怖いからアーチャン見てきて」と言って、手を離して後ろに下がっていったら、あわてて付いて来る。
僕も酒造所の大きな釜や、搾り器が、展示してある大きな白いユニコーン2頭の不思議な雰囲気の影響からか、何となく巨大拷問具のように見えてきて、とても気持ちが悪かったですね。
僕が幼稚園児の頃に住んでいた田舎の家も土間があり、五右衛門風呂で、大きな吹抜けがあって、外の井戸を挟んで、お爺さんが趣味で一頭だけ飼っていた黒い牛の小屋や鶏小屋があったりしていたので、何となくその頃の記憶が鮮明に戻ってきました。僕の小さい頃は生活の中に大きな動物が同居していた事、いろいろな意味でイメージに影響あたえているんだろうなと思いますね。
エントランスホールに鹿の木彫が一つだけ置いていて、カーチャンがそれを見るなり、「目が違う」と厳しい指摘。確かに鹿は牛の仲間だし、僕の子供の頃の牛の記憶の中の目のイメージと照らし合わせても違う感じはしたけれど、三沢さんの目の表現は、少し独特な印象がありますね。
それから、行き当たりバッタリな感じの会場動線をたどり、地下に降りて、シロクマ君のお家などを見ました。このシロクマ君のお家は、以前、grafのワークショップhttp://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20071020/artanartの時に僕の棚制作のサポートしてくださったスタッフさん達が作られたものらしく、grafにある、小屋と同じような、おとぎ話的なテイストの仕上げになっていました。
僕はシロクマの木彫に細かく入っているクラックが気になって、以前木彫もやっていたカーチャンに聞くと、防ごうと思えば防ぐ技法はいろいろあるけれど、この作者さんは、その事を知っているけれどテイストとして対策していないのか、対策したけれど割れてきたのか、分らない、などと言っている。
2階に上がり、三沢さんのアトリエの再現したコーナーが楽しい雰囲気。
2階の展示は2室あり、一つはいろいろな種類の猫と犬のコーナー、こちらは床に線引きしてあって中に入って近づけない展示。もう一つは中央に大きなゾウが居て、周りにいろいろな種類の猿とかウサギさん、ブタ、などなど。こちらは作品に近づいて見ることが出来る。
哺乳類の動物達は、ほとんどが小さくデフォルメして、擬人化されていたりしていて、不思議な印象。
それに対して、壁の高い位置に、ところどころ張り付いているヤモリとか、何故かこれだけはケースに入っていたカエルなどの爬虫類の表現は、かなりナチュラルな印象。木彫の表面の仕上げの感覚も、爬虫類の濡れた皮膚の感じに、オイルペイントのような塗装の感じが近くて、これら爬虫類の作品のテイストが、作者の原点に近いものなのかもしれないなと空想する。
ヤモリの展示にしても、透明ケースの中のカエルにしても、どちらも触れる事は出来ない場所に、人から引き離されてあり、コミュニケーションに一つの線が引いてある。その事が印象深かったですね。

三沢厚彦 アニマルズ+PLUS
伊丹市立美術館のHPより
http://www.artmuseum-itami.jp/07misawa.html

grafでもドローイングを中心とした展覧会を同時開催されていますね

Misawa Atsuhiko ANIMALS in graf
会期:2007年12月1日(土)〜2008年1月20日(日)
http://www.graf-d3.com/gm/misawa/index.html