新しい知見

最近PWSの諸症状と遺伝子の関係について、さまざまな研究が進められていますね。IPWSOの総会の専門家の講演記録にも、様々な知見が出ています。

Abstracts from the 6th International IPWSO Conference
http://www.fpwr.org/node/390

それが直接治療法開発に結びつくかどうかは分りませんが、まずは基礎的な原因の部分を確定して欲しいですね。
PWSの諸症状には、肥満&過食症、成長の障害、行動面情緒面の問題、スキンピッキング、等多岐に渡りますが、それぞれの原因遺伝子の探求が進められているようです。

過食については、セロトニンの5-HT2C受容体の形成に影響のあるHBII-52がPWSの場合、働いていないようです。
The snoRNA HBII-52 regulates alternative splicing of the serotonin receptor 2C.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=ShowDetailView&TermToSearch=16357227&ordinalpos=2&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum

成長の障害については、大阪大学の吉川先生が発見されたnecdin遺伝子と関連のある、MageL2をノックアウトしたマウスで、PWS同様の成長の障害が生じる事が分りました。
Inactivation of the mouse Magel2 gene results in growth abnormalities similar to Prader-Willi Syndrome.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?Db=pubmed&Cmd=ShowDetailView&TermToSearch=17728320&ordinalpos=1&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum

Mage遺伝子については、当方のblogに転載させていただいた、2003年(もう4年も前だ)の吉川先生のコメントに、既に関連性示唆されていますし、http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/10000201/p1以前、blogで知り合ったフランス在住の方から、フランスのPWS協会の会報を翻訳して転載させて頂きましたが、http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20040304/p1そこにも、Mageについて、研究を進める旨の記述がありますね。
necdin遺伝子については、以前から吉川先生含め、多くの海外の研究者さんがPWSの原因遺伝子ではないか、と言われています。
吉川先生の研究室を訪問させていただいたり、患者家族会にコメント投稿させていただいたり、自分なりに、出来る範囲アクションしてみましたが、日本では、なかなか研究を推進するような話にはならず、海外の研究に、望みを託すしかないのかもしれません。

海外の患者家族団体は直接、necdin遺伝子の研究に資金援助されています。
The sympathetic and enteric nervous systems in necdin-null mice
http://www.fpwr.org/research/grant/2006/4
enteric nervous systems(腸管神経系)の異常は、PWSの過食や肥満と関連示唆されているghrelin等に関連するでしょうし、研究成果に大いに期待したいですね。

でも、吉川先生の研究室は大阪だし、目の前に、PWSの根本原因に関わる遺伝子の研究されている方が居られて、何のサポートも出来ないのは、とても残念だし、日本人の患者家族だけでなく、世界のPWSの患者家族にとって、大いなる損失と僕は思います。

日本の患者家族の皆さん、アクション起こしませんか?子供たちを治す気無いのですか?