大阪市:「創造都市戦略」に文化の薫りない
上のblogで取り上げられていて、僕も少し興味を持ちました。
大阪市:「創造都市戦略」に文化の薫りない 平田オリザさんら、市にあす直訴
http://www.mainichi-msn.co.jp/kansai/archive/news/2007/01/10/20070110ddn012010023000c.html
毎日新聞のHPより「『(仮称)創造都市戦略』の策定に向けて(骨子案)」
http://www.city.osaka.jp/keieikikakushitsu/keieikikaku/toshi_team/outline.html
大阪市経営企画室のHPより
具体的な嘆願書の中身は詳しく分りませんが、芸術文化の分野の政策立案や支援の取り組みにアーツカウンシル(芸術文化評議会)を設立して担わせるべきという主旨のようですね。
お名前の出ている平田オリザさんのこと、僕は詳しく知らない方だったので、著作を図書館で借りて拝読してみました。
- 作者: 平田オリザ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2001/10/01
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ユニークな提案がたくさん記述されていて、面白いと感じます。
一部引用(①〜④は僕のまとめ)
①:政府は今後予想される、大きな産業構造の変化に備えて、全ての国民に、芸術文化に触れる機会を湯水のごとく与えておく責務がある。
②:体験型教育の発展 体験型の学習、あるいは情操教育や身体を使った教育が重要なことは、プラトンもルソーも言ってきたことなのに、しかしそれが公教育の中で充分に実現されたことはない。これは、公教育のプログラムを作る側が、体験学習の有効性を科学的に立証することができなかったからだろう。だが、最近、認知心理学のアフォーダンスという分野の学者たちと私達の共同研究の中で、面白い事がわかってきた。以下略
③:芸術保険制度を
④:終章 芸術の未来:消費社会が内包する「サービスの需給関係の混合」、そして日本文化において伝統的な「プロとアマの曖昧さ」。これらの要素が、今後どのような新しいアートマネージメント理論を形成していくか、それは私には分らない。だが、今後このサービスの需給の混合は、一層複雑に、一層深く、進展していくことだけは確かだろう。
①湯水のごとくというところ良いですね。大阪市は税金の無駄使いとして、いろいろ批判されていますが、個人的には、ゴミ焼却場の外観デザインをフンデルトヴァッサーに依頼して、かれの死後完成した、舞州のプロジェクトhttp://www.city.osaka.jp/kankyojigyo/sec08/pdf/p08_27maishima.pdfなんかは、もっと違った評価があってしかるべきと思っている。これを提案した人が市役所の人なのか、誰なのか知りませんが、よくやったと思いますよ。ある会の会合で舞州に行った時、お昼休憩に僕達家族は交流忘れて、すぐにこのフンデルトヴァッサーの焼却場を見に行きましたもの。
②の認知心理学のところは、アーチャンのように障害のある子供へのアートセラピーの効果について考える時、学んでおきたいですね。単発の体験学習だけでは限界がありますから、継続して、ちょうど自転車に乗れない子が、一度乗れれば、その感覚は決して忘れないような、感覚の全体感のようなものを、うまくつかんでくれればと、いつも思っていますから、その手掛かりになりそうですね。
③芸術保険制度すなわち目的税みたいな提案ですが、これもまったくの空論とも思えないですね。NHKの受信料が年間6000億円だそうですから、その一部でもアート支援に向かえば、湯水とまではいかなくても、それなりのことは期待できるでしょうね。NHKはアーティストを守るというディレクターとしての、インキュベーションとしての役割をどう理解しているのか、よく分らないところありますし。下記の要請はその意味からも必要だ。
NHK受信料2割下げ要請へ 総務省、支払い義務化も
http://www.asahi.com/culture/tv_radio/TKY200701110171.html
6000億円×20%=1200億円
④の「サービスの需給関係の混合」の項も言葉にすれば、ごくありふれた表現となっているが、共感できるところですね。NHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」で、番組の最後のところで、プロフェッショナルとは何か?について出演者さんがコメントしているが、僕の思うプロとは、専門領域を自ら解体、拡張、曖昧化、他の領域と接続していく人のことと思うし。