海外の治験

アメリカのFPWRのホームページのデザインが変わったので、拝見していますと、様々な新しい治験の情報が出ていました。日本では未承認の薬もあるようですから、期待したいですね。治験に参加される海外の患者家族の皆さんに感謝致します。
何度も僕のblog日記で書いてきましたが、これら治験の研究内容のほとんどが、日本人研究者による発見関連のものだし、資金援助することで、次々と研究や治験を進めていく海外の状況見ていて、本来最も治療法開発に近い環境であったはずの我が国の今の状況は、個人的には許容できないものですね。
この10年近く、自分なりにアクションもしてきましたが、何とかこの環境を活かして、治療法開発に向けての、まず研究体制を築いて欲しいですね。

FPWRのホームページ治験への援助見ますと、一つは、prader-willi症候群の患者の視床下部ニューロンが減っているとされるオキシトシンの補充療法。

A trial of oxytocin to improve behavior and cognition in Prader-Willi syndrome
http://fpwr.org/grant/2009/trial-oxytocin-improve-behavior-and-cognition-prader-willi-syndrome

PWSで欠失しているnecdin遺伝子の発見者の大阪大学の吉川先生の御研究では、necdinノックアウトマウスも同様に、視床下部オキシトシンニューロンが減っていて、関連しているようです。それと、「オキシトシン受容体の社会行動制御と体温調節機能に関する研究」をされている東北大学の西森先生が、Necdin遺伝子欠損マウスを大阪大学の吉川教授より入手し、このマウスでのオキシトシン系、オキシトシン受容体系の遺伝子発現異常を明らかにする研究をされています。期待したいですね。

それから、グレリンの分泌を抑える新しい薬の治験。

Exenatide: A potential treatment for hyperphagia and obesity in persons with Prader-Willi syndrome
http://fpwr.org/grant/2009/exenatide-potential-treatment-hyperphagia-and-obesity-persons-prader-willi-syndrome

こちらも繰り返し紹介してきましたが、グレリンは寒川先生、児島先生の発見によるもの。アーチャンはグレリン血中濃度測定の血液検体として、児島先生の研究に参加しましたが、現在諸事情で研究は進んでいないようです。
上記のオキシトシングレリンは相互作用あるでしょうし、特に個人的には、視床下部よりも、扁桃体への作用について解明されないかと期待しています。
扁桃体の変異が自閉症の原因の一つではないかとされていますし、PWSの過食も行動面の異常の一つと捉える場合、扁桃体が関係しているのではないかと、感じています。
扁桃体の興奮を抑える作用があるのではとされる、EMDR的な眼球運動を含んだセラピーの、PWSへの応用研究が進まないだろうかと思っています。個人的には、アートセラピー的な関わりの中で、眼球運動の有効性を感じていますので、いろいろな試行はしていますが、やはり専門的な機関で研究を進めて欲しいと思っています。