Ryuta Iida「Fact of Accumulation 07」展

午後から、行き当たりバッタリで出かける。国立国際美術館の前にあるgrafでランチ食べて、ここのギャラリーの展覧会も覗いてみた。
まったく知らない作家さんであったが、とても親近感が湧く。床や壁にグレイの厚紙が貼られ、触れるところは全て紙になっている。僕も子供の頃、父が紙問屋に勤めていて、家中に紙があって、それに囲まれて生活していたらしく、記憶には無いけれど、今も自分のデスク周りは紙だらけだし、紙が無いと落ち着かない。こういう展示は無条件に好きになってしまう。
肝心の展示作品は、本を裁断して、レリーフのような、活字が削られて蒔絵のようになった作品とか並べられていて、コンセプトは明快であった。ただ、このような表現は個人的なテリトリーの中では、とても親和性に富んでいると感じるが、作品として、パブリックな場所で提示されると、意図せざるところで、毒を持ち、本に対する平和な思いを傷つける部分が少なからずあるとも感じる。
本の可能性と、本の限界みたいなもの。
本は一度出版されると、インタラクティブに、交流し、意見交換した内容を、その都度盛り込むことは出来ない。ある意味で死んだ情報とも言える。作者が本を切り刻み、特定の言葉を切り取る行為は、死んだ情報にエネルギーを送る行為であろうか。

Ryuta Iida「Fact of Accumulation 07」展
graf media gm
http://www.graf-d3.com/gm/iida/index.html