奈良国立博物館にて「大勧進 重源  東大寺の鎌倉復興と新たな美の創出」を観る

仏教の事は詳しく知らない世界ですが、展覧会は素晴らしい内容のものでした。鎌倉時代の宇宙的な感性を持った知識人という雰囲気。
舎利を納める三角五輪塔は、敬愛する数学者の宮崎興二先生の指摘されていたプラトン立体との関係を確かに連想させる、きっちりとした幾何学的なピュアなシルエットをしている。東大寺南大門の金剛力士像などの強いユニークな表現も、特に目に付くのは、その台座の岩であったり、波涛の姿であったり、荒れ狂う自然を理性の力で制御するような姿勢が感じられ、日本的な表現と言うより、やはり宇宙的、普遍的な表現という印象が強いものでした。
行基との関係の章で展示されていた、掛け軸の水平に雲型によって区分されたアクソノメトリックパースの光景が、区分された段ごとに、向きが変わっていて、多焦点のとても面白い構成になっていました。そして、雲型で切られた光景が微妙に重なっているところの表現もあり、その描写の複雑な姿が目に焼き付いています。重源のことをもっと知りたいと思わせる、ユニークな展覧会ですね。探求してみようと思う。
展示されていた仏像の中で、とてもかわいい仏像があり、悟りを開くのに要した時間、21億光年だったか説明があり、その時間の表現を髪型で表したものがあり、その愛らしい姿が、アーチャンがヘッドギアしているところと、そっくりで、面白かったですね。