「Necdinとプラダーウィリー症候群」

PWSの原因遺伝子と言われるNecdinとPWSとの関係について、大阪大学の吉川和明先生が、日本生化学学会の機関紙「生化学」の2004年5月号に、「Necdinとプラダーウィリー症候群」という論文発表されています。僕も、さっそく図書館で拝読しました。Necdin遺伝子については以前、吉川先生から詳細なテキスト投稿いただきましたので、そちらも御覧下さい。http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/10000201
こちらへの論文の紹介も快諾いただきました。ありがとうございます。

このように様々な分野の研究者さんが読まれる専門書に詳しくPWSのこと記述していただけると、患者家族として希望が湧いてきますね、ありがたいです。読まれた専門家の先生の誰かが新しいアイデアで、治療法発見してくれることを、期待したいです。
専門家向きの論文ですから、医学の知識の無い僕には難しい内容ですし、興味ある方は図書館等で原文を読んでいただきたいです。
個人的に何とか読んでみて理解できたと言うか、面白いなと思った部分は次のようなところですね。

necdinのような父親側で働く遺伝子は、視床下部の形成に必要で、大脳新皮質の形成には抑制的に働くらしい。先生の予想では哺乳類に進化した時、母親側がインプリントされて、Necdinの発現量が半分になって、抑制が少なくなり、大脳新皮質が増大したと御考えですね

これを読んで、僕なんかは、だったらPWSの場合、変異によってNecdinはまったく働かないから、大脳新皮質がもっと増えて、特別な能力持ちそうに思うんだけれど、そう、うまくはいかないようですね。先生の御研究ではNecdinはニューロンの細胞死(アポトーシス)も抑制するらしいので、そのバランスがPWSの場合、うまくいってないのでしょうね。でも、その部分は、いろんな研究進んでいくでしょうから、脳の変異の様子が解明され、治療法に結びついてくれるよう、期待したいです。

吉川先生ありがとうございました。これからもPWSの基礎研究よろしく御願いします。