フランスの協会会報より

僕のblog日記読んでいただいているフランス在住の御母さんのヨコヨコさんから、フランスのPWSの協会会報を訳してメールくださいました。転載許諾もいただきましたので、転載します。日本には患者家族、医療、福祉、行政等々を有機的に結ぶ協会的な組織がまだありませんから、その点だけでも良いなと思いますね。協会から研究費出せるというのも、望ましい姿です。ヨコヨコさん、ありがとう。

かなり前にお話した会報の一部分をやっと訳しました。http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20031213
読んでなんとなく理解することと、文章にするのとでは、天と地の差ですね。
10数年ぶりに学生に戻った気分で苦しみましたxxx 
こちらの協会では研究者の方に2002年から2年間、年20000ユーロを支給し、基礎研究をしていただいており、その1年目のレポートがあったので、その中で治療について言及している部分を簡単にご紹介します。ただし、気が抜けますよ、、、。

1遺伝子治療 この治療は欠陥遺伝子の表現するものを細胞に再導入するものである。この開発は大変重要視されているが、これらの遺伝子を通常持っている細胞の特定や、適切な再導入時期の特定が困難であることから、現在はごく少数の免疫システムの病気にしか適応されていないし、それですら予測されない副作用が現れている。
2細胞治療 この治療は幹細胞を刺激し、欠陥のある細胞を健康な細胞に取り替えるものであるが、PWについては、欠陥遺伝子、欠陥細胞の識別など、全てがまだこれからである。
3薬物治療 これは治癒や症状の軽減の効果がある分子を人体に導入するものであるが、分子の選別には分子と細胞のメカニズムの機能障害についての深い知識が必要であるが、PWにおいてこのメカニズムは未知である。

と、ここまで読んでいただいて分かるとおり、"一年かけてこれだけ?”と言う有様ですよね。まぁ、確かに予算も予算ですが、、、。
で、最後に少しだけ期待を持たせて、マウスモデルについて、、、

PWSにはNecdinとMageL2という2つのヒト遺伝子が関わっていると思われる。まず、一つ目に、Necdin遺伝子を破壊したマウスモデルを作ったが、生理的、そして行動面での特徴がPWの患者と類似しているのは明らかである。現在、MageL2を破壊したモデルを作成中である。この遺伝子は神経システム、とりわけ視床下部における神経システムの配置の発達に何らかの役割を担っていると思われ、現在その働きを分析中である。

とにかく早く研究が進みますように、、と祈るばかりです。

フランスのPWS協会のHPは、こちらです。

http://perso.wanadoo.fr/pwillifr/

NecdinとMageL2の部分はNecdin遺伝子を発見された大阪大学の吉川先生が投稿くださったテキストに記載されていますので、参照ください。http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/10000201