浅香弘能 石の刀

高島屋6階で、森田千晶「冬をかざる和紙」展を見た後、同じフロアーのギャラリーNEXTへ。

浅香弘能 石の刀
http://www.takashimaya.co.jp/osaka/gallery/index.html

ここへ来る前に、堺文化財特別公開で、田辺小竹さんや佐助さんでの鋏製造の実演や試し切りなど体験させていただいてたし、以前の同じイベントで刀鍛冶の実演も拝見したりと、堺の刃物文化の本物のテイストを堪能してきたところだったので、ギャラリーNEXTの展示が見えた瞬間に、同じ感覚のようなものを感じてしまいました。
作家さん居られたので、その辺りお聞きすると、まったくその通りに堺の方で、おそらく子供の頃から馴染んでこられた尺度のようなものが、皆さん共有されているのではないかなと思います。
作風は何年か前にがらりと今の日本の美を意識したものに変えられたらしく、それ以前の作品もファイルで拝見しましたが、それもとてもピュアな感じの造型で、どちらも共存していけるのでは無いのかなと。
作者は日本美の部分を強力に押していくようなこと話されていましたが、様式としては極端に異なる雰囲気ですが、融合もしくは共存は充分可能に感じました。
過去の作品として拝見した、モダンな石のモニュメント(お墓)の背景に、周囲のごく普通の四角い墓石が並んでいて、個人的にはそのようなアノニマスとも言える光景に、惹かれる部分もあり、同時にそれらとは異質な造型世界(大地震の際に、昔の研究者たちは墓石の倒壊状況、倒れる方向を見て、地震の規模や揺れの方向を判断したらしいが、そのような人間的感覚を超えたところにある力に巻き込まれることによる結果的な同一性の獲得のようなもの)とが、両立する可能性を、座る、石に触れる感覚の尺度の中に感じました。