特別展「来て!見て!感激!大化石展」

前回の「お披露目!博物館に届いた新しい標本」展のブロガー無料招待の企画に続いて今回も同様の試みされるとの事で、再度申込み、家族で伺いました。今回は、内覧会と7月2日か3日のいずれか1日と日程に幅があり、より参加しやすくなっていました。ちょうど土日にピロティのところで、七夕祭があるので、浴衣着ていくと風鈴が貰えるということで、アーチャンに着させて行きました。
歴史のスパンも長く、テーマも多岐に渡りますので、ワークショップが始まる頃に再度訪問してじっくり観たいと思います。
(撮影及び画像転載許諾済み)

「お披露目!博物館に届いた新しい標本」展
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/tokuten/2011kaseki/index.html
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/index.html
大阪市立自然史博物館より引用

生物の歴史や化石の展示を見る時に、いつもその圧倒的な時間の長さや、地殻変動の激しさゆえに、今起きている目の前のせわしない現実から意識が遠のいて、気分が雄大になります。それと共に、解説では海に生命が出現したのは38億年前とされていますが、気が遠くなる時間の中、生と死が繰り返されてきて、今の私達の命につながる訳でしょうけれど、一度も切れることなくつながっていることの不思議さというのか、強運というのか、感じざるを得ません。

そんな事を思いつつ会場を巡りましたが、1〜6章に区分して展示されている化石のうち、最初やはり自分の仕事の建築の領域に関連する展示に興味が行き、集中して見ていました。
生物が作り出した、珪藻土(かんてき、壁材料など)それにサンゴや貝殻で出来た石灰岩、セメントなどは以前から生物の遺骸の集積したものとして意識していましたが、今回、縞状鉄鉱層の展示と解説で、鉄もまた二価鉄の状態で海に溶けていた物が、生物の作り出した酸素と結合して三価鉄になり、海底に沈殿して縞状鉄鉱層を形成したことを知りました。それらに建築物や日用品として形を与えるのは人間の作業ですが、それ以前の長い年月の生成期間を思うと、無駄の無いように使いたいと改めて思いました。

次に興味が湧いたのは、最初の真核生物とされる21億年前のグリパニアの化石でした。小さな岩石の欠片のようなもので、とても地味な姿で、解説が無ければただの岩石の断面にしか見えませんが、それが生命の痕跡と知ると、原初のうごめいていた命の姿が感じられてきました。

これらの原初的な生命の姿と同時に、今回展示されていて面白いなと思ったのは、発見当初は生命の姿とされたものが、後になって、違うものと判明したものも、丁寧に展示されている事でした。
特にこの、しのぶ石は確かに植物のように見えてきます。でもそこに生命の形を模るメカニズムが、実は非生物も生物も同じような原理が働いている証拠のように思えてきて、何が生命を鉱物的なものから生じさせたのか、想像してしまいます。

それから、コダイアマモは、最初アマモという植物の仲間と思われていたものが、後に動物の動いた痕跡ということが分ったという珍しい物。これも生命の形を模るメカニズムは多様であるけれど、似ていることを感じさせます。

カンブリア大爆発の話は、テレビの科学番組などで何度か見ていて、その時期から多様な形のある生物が生じてきたと理解していましたが、今回の展示パネルで、実際にはもっと以前から爆発は起きていて、化石として発見され始めたのが、カンブリア紀とする説の紹介があり、これらの知見も次々と書き換えられていく研究領域なんだと理解しました。
この時期の化石は形もユニークだし、発掘した人たちの喜び感みたいなものも伝わってきますね。

生物の大量絶滅は過去5回あったらしく、その都度古い種が絶えて新しい種が繁栄していく。始祖鳥や孔子鳥のような恐竜と鳥の過渡期のような姿をした化石はとても心惹かれますね。(孔子鳥は前回の展覧会でも展示されていました)
古いものと新しい物が微妙に混じり合っている状態は、でも私達人間の体の中にもたくさんあるし、いずれ遠い未来の新しい人に受け継がれていくのでしょうか?その時には6回目の大量絶滅があるのか否か分りませんが。

日本列島の海面が上下して、その度に大陸とつながったり、分離されたりの歴史もパネル展示によってとても分り易いものとなっていました。
特に滋賀の野洲川で発見されたゾウとシカの足跡化石のかたどり標本は、日本にもゾウが居たんだと、改めて驚いてしまいます。当時のシカや中国のアケボノゾウの全身骨格もあり、立体的に理解が深まります。

アーチャン今日は、展示を見る前にピロティで開催されていた七夕祭で風鈴もらったり、願い事書いたりして遊んできたので、おとなしく見学できていました。
興味を持った化石をスケッチしています。特に文字のように見える化石や貝や植物の化石が気に入った様子。


blogに感想を書き込んで、メールで博物館さんにアドレスを知らせて、ホームページにアップされるのを条件に入場料無料という特典ですが、やはり普段よりかなり集中して観ますし、今回の展覧会は化石の歴史や化石そのものの解説ということで、展示情報も多く、見終わった時には脚は棒状態でした。でも心地良い疲れですね。
今回も楽しい経験感謝です。