駒井家住宅、いつまでも

敬愛するウィリアム・メレル・ヴォーリズさんが設計された駒井家住宅でのイベント拝見してきました。ちょうど土曜日は、アーチャンの療育で京都大学へ来ましたし、駒井邸は大学から歩いて25分くらいのところにありましたので、療育の前に立ち寄らせて頂きました。
少し前にヴォーリズさんの建築のコンヴァージョンのプロジェクトに参加したことがあり、駒井邸と同時期の昭和初期の1920年代のものであったので、担当の方から雰囲気は聞いていて、見ておきたいなと思っていました。こちらもとても良い状態で残されていて、相続された御家族が財団法人日本ナショナルトラストに寄贈されたそうです。個人住宅の内部を見る機会というのは、実際にはとても少ないし、こうして記念館として残して公開してくださる事に感謝ですね。
今日は、現代アートの作家さんのインスタレーションの展示があり、普段の様子とは少し違う様相のようでしたが、新しいイメージを得て、建築もとても明るい印象でした。

外壁の東と南側は改修工事中で、足場とシートが掛かっていました。


各部屋の床に青い布を細かく裂いたものが敷き詰められていました。建物のイメージを壊さないで調和しつつ、作品としての強さを、青い色が出しているように感じられます。何故青色なのか、お聞きする事はできませんでしたが、いろいろと想像できますね。道に沿って流れている疎水が流れ込んできたようなイメージなのか、もしくは改修工事の安全シートとの連動を考えられたのか。京大農学部さんで見た馬の調教から、細かく切り刻まれた布が柔らかな草のイメージのようにも感じられました。
クリストのように、一つのイメージで世界を梱包して、一瞬にして世界観の変化を狙うような、知的な試み的なアートは、僕はあまり好きではないし、建築そのものの中に、そのようなモノトーンなものへの無意識の抵抗の力みたいなものがあると思っていて、駒井邸のこのインスタレーションを見ていて、これもまた、クリスト的なものであるのか否か、考えてみましたが、全ての床が覆われている訳ではなく、観客の立ち入られるスペースと、青いエリアとが、明確に区分されていて、床が単一化されていないので、それぞれが固有の場と形を持った独立した作品であるように思われました。


駒井博士の書斎が当時のまま保存されている。西面の、ここだけが、通りの疎水に面していて、西面の他のスペースは閉じている。リビングや個室は、東の山並へと開放されている。(改修工事中にて、現状は遮られていますが)
デスクの背面には小さな礼拝のニッチがありました。駒井博士の奥さんとヴォーリズさんの奥さんとは友人らしく、それが縁で設計依頼されたとの事。

『「青プロジェクト〜Beginnings(はじまり)〜」高見晴惠×駒井家住宅』
http://komaike.exblog.jp/9098221/
駒井家住宅の日々(駒井卓・静江記念館/ヴォーリズの光と影の住宅)より

昭和初期に米国人建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計した洋風建築の駒井家住宅(京都市左京区、市指定文化財)で、文化財指定10周年と同住宅を運営する日本ナショナルトラストの設立40周年を記念した展覧会「Beginnings(はじまり)」が開かれている。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008090800110&genre=K1&area=K00
京都新聞のHPより引用