障害とアート研究会

財団法人たんぽぽの家さん主催の「障害とアート研究会」のお話を聞いてきました。
我が家の場合、アーチャンとの関わりで言えば、もうしばらくは、特段新しい事は始めなくても、今までのペースで陶芸等を作ったり、あちこちのワークショップ参加したりして遊びながら楽しい経験をしていくだけで充分な感じがしています。でも、あと10年後くらいの、学校も卒業してその先の事を考えると、今から少しずつでも様々な情報に接して、学んでおきたいと思っています。来月にもまた研究会あるらしく参加したいと思います。感謝です。

障害とアート研究会
財団法人たんぽぽの家さんのHP
http://popo.or.jp/new/detail.php?cid=175
http://popo.or.jp/

今日、お話いただいた、「片山工房」さんは神戸市長田区を拠点に活動する無認可小規模作業所で、正規メンバー7名、クラブメンバー14名と、各地にあっても良いなと感じる規模の雰囲気。最初はごく普通の小規模作業所だったらしく、現在のようなアートに特化した作業所にしようという事を意識してしてきた訳でもないのだそうだ。マネージャーさんが担当された頃の、施設の2階で作業されている光景があまりにも暗いイメージだったので、それを何とか明るい、面白い物にしていこうとしていくうちに、外部から見ると結果的にアートと呼べるものになっていたらしい。最初は作業所自体も制度変更の際に廃止する予定でもあったらしく、何がきっかけで進展していくか分らないというユニークなお話。このエピソード自体がアートの持つ力のようにも感じますね。
マネージャーさん御自身、阪神淡路大震災で被災されたそうで、おそらくその経験故と感じますが、施設経営の観点からは受け入れの難しい、週に1回だけとか月に1回だけのような利用をされる方(他の施設や作業所に通っている方たちらしい)もクラブメンバーとして受け入れて活動されている。「他の作業所で断られて、ペン持って来られると、やろうと声を掛けてしまう。やりたい人に小さいチャンスあっても良いだろう」というお話には頭が下がります。この辺りは、でも規模的な限界もあるとの事で、ディスカッションの際に、クーポン利用や公共施設の利用などの提案が会場からありました。それに対してマネージャーさんは区単位くらいで、こういった施設がたくさん出来ていけばよいし、それは作業所的なものではなく行政が関わるアートセンター的なものとすれば、そこで同じような活動を行えばニーズはあるので人は集まると思うと返答。(僕たちが通っていた青少年会館での陶芸教室のようなものが、もっと小さな地域単位でできてくれば、どれだけ素晴らしいかと、この議論お聞きしていて思いました。大阪は市も府も財政厳しいですが、理想は持っておきたいですね。)
片山工房では、様々な障害の方を受け入れておられるので、対応のバランスが難しいとの事。印象的だったのは、様々なステップにおいて自己決定のところを重視して、時間を掛けて「全てに対して待つ」という基本姿勢のところ。毎日の作業は地味だし、なかには5年掛けて1枚の絵を描く方もおられるとの事。「全てに対して待つ」ということは、これは現実の場面においてはなかなか難しいことと思います。自閉症や知的障害、精神障害の人は、元々創作意欲が高くて、こちらから引き出す必要が無い。最初から自分で描ける。でも、本人が本当に楽しんでしているのかどうかは分らないところがあり、作品が一人歩きする恐れもある。それに対して身体障害の方の場合、ずっと全ての面でサポートを受けてきて、自分で判断をするという経験をしてこなかった方が多く、自由にどうぞでは何も動かない場合があるので、まず色や素材を選ぶという場面作り(選ぶ作業)をサポートする。作品の完成、発表の機会を経て人とのつながりの場面を作り、精神的自立を働きかける。こういう絵を描きたいという目標を設定、そして最初はほとんど描けなかった人の絵が劇的に変化する瞬間があり(自由、崩す作業)最終的に自己プロデュースしてもらう。最初何も出来なかった方が、制作を通して自分の作風を見出し、最終的には最近の神戸ビエンナーレ展に出展し、学生ボランティアさんへ指示してコンテナ会場への取り付け作業遂行までされたとの事。
途上、工房での制作風景のビデオ上映され、一人一人の障害程度に応じてきめ細かく対応されているところ、印象的でした。

片山工房さんのHP
http://studio.kobe-katayama.com/