「ガレとジャポニズム」展

最初はワークショップだけして展覧会は見る予定では無かったのですが、カタログを見ると、ガレに影響を与えた日本のアーティスト達の作品のなかに、陶芸家の宮川香山http://www.soubunsha.co.jp/0424_0.htmlの作品が二点(渡蟹水盤と高浮彫枯蓮二白鷺花瓶)出展されていて、カーチャンが見ておきたいと言うので、会場へ。
ガレや当時のヨーロッパのアーティスト達が日本美術の強い影響を受けて、特にガレは図案をそのまま写して作品化している、という美術史研究の部分が展覧会のメタな視点として導入されているのですが、少し強調されすぎている感じがしました。ここで主張されている内容が事実であるとすれば、現在の著作権法に照らせば、ガレの作品は著作権法違反になる感じですね。でもこれは企画した研究者さんの視点が少し窮屈な印象があります。研究した訳ではないのでよく分りませんが、ガレが写した日本美術自体が参照し相続してきたもののルーツの探求も同時にしなければ、深みが無いですね。当時の日本美術が突然何の影響も無く現われた物では無いでしょうし。
でも展示には下絵の原画であったり、転写用のミシン目の打たれた薄紙(上から粉を撒くとミシン目の穴から粉が通り、ガラス面に転写されるようだ)があり、制作のプロセスがよく分り、立体物と二次元平面との制作上のイメージの交換がよく伝わってきました。
カーチャン希望の陶芸家の宮川香山の作品は、この展覧会の中でも突出して不思議な印象を感じさせ、この作家について詳しく知りたいなと思いますね。特に高浮彫枯蓮二白鷺花瓶の蓮の葉の表現については、カーチャンといったいこれはどうやって作ったんだとしばらく議論しました。カーチャンは現物の蓮の葉を粘土に転写してそのまま貼り付けたのではないかと推測、僕は他の部分の造形力から見て、蓮の葉のところも一から作ったのではないかと推測、資料を詳しく見ておきたいですね。

ガレとジャポニズム
http://www.asahi.com/galle/

ちょうど今、初代宮川香山の作品も含めて、当時の陶磁器の展覧会していますね。観て見たいな。
横浜・東京−明治の輸出陶磁器
会期:2008年4月26日(土)〜6月22日(日)
神奈川県立歴史博物館
http://ch.kanagawa-museum.jp/tenji/toku/toku.html