梅田恭子展

天気が良かったので療育の後、近くの長居植物園で風に吹かれながらランチ食べて、午後ナンバに出て、天音堂へ。
版画用紙に直接ドローイングした蜜蝋画と銅版画モノタイプの作品展。
蜜蝋は、銅板画では腐食止めのグランドの中に柔軟材として入れたりするものですね。ですから通常は表現として出てくるものではなく、どちらかと言えば裏方のさらにその一部のような存在。そのような制作過程において最終的に捨てられるような存在にあえてスポットライトを当て様とされているのか、純粋に、蜜蝋のような濁った半透明の物質感が良いと感じておられるのか、在廊中の作者さんにはお聞きしませんでしたが、その両方に思いを感じているような表現と感じました。
ただ表現自体は蜜蝋でなければいけない強い根拠性はあまり感じられないで、むしろ無意識的なルーティンとも言えるような、繰り返しの作業の中で生じてくる、没我的なイメージがある。
モノタイプとは銅版の上に直接インク等を塗って、そのまま転写して版画とするもの。版そのものを形成しないので、一回限りの形象となる。版画固有の左右の反転現象も、具体的なフィギュアが描かれていないので、あまり意識しないで済む感じだ。でも個人的には版画の鏡像は新しいテーマではないが、興味を今でも充分引き付ける要素であるが、作品からはあまりその意識は感じられなかった。銅板画の表現で鏡像についての探求によって、意識や無意識との関係に近づく事も可能と思えるし、まだまだ開発可能な領域である。

梅田恭子 水底ニ吹ク、風
http://amanedo.exblog.jp/7975098/
天音堂のblogより