平松・大阪市長VS.橋下知事 財政再建めぐり大激論

ところが、議論が文化論に及ぶと両首長の口調が一気に激しさを増した。
「今切れば、立て直すのに何年かかることか。文化をどう守るか考えてほしい」。平松市長は顔を真っ赤にして、大阪フィルハーモニー交響楽団などへの補助金廃止を思いとどまるよう訴えた。
橋下知事は「残ったものこそ文化だ。府民が本当に残したいなら、(存続を求める)署名だけではなく1人千円でも出して見に行けばいい。初めから行政が金をつっこんで守っていくのはどうか」と持論を展開。平松市長が発言を遮り「知事の意見は暴論だ。力の論理で壊してきた文化が過去の歴史の中にはある。大勢が支持したら残す、というように数で判断するのはやめて欲しい」と反撃すると、橋下知事は青筋をたて、いすから腰を浮かせ、「数で判断はしていません」。
http://www.asahi.com/politics/update/0515/OSK200805150104.html
asahi.comより引用

この議論の中には出てきていないけれど、今回の大阪府のPT案http://www.pref.osaka.jp/zaisei/kaikaku-pt/shian/oyakenoshisetsu.pdf見ていて、僕は初めて大阪府唯一の美術館である、大阪府立現代美術センターの年間予算がいくらかということを知って驚いた(年間約2300万円)
おまけに当初はそれさえも廃止させようと考えたようだ。前知事の時代の府有地の売却に際して、敷地内に現存する近代建築の美術館へのコンヴァージョンを、その改修費用含めてデベロッパーに負担させるという事業コンペhttp://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20080411/memoの成立によって、現在のセンターを移転させて、ぎりぎり廃止はまぬがれたようですが、運営費用は現状よりもさらに削減される案が示されている。大阪府の美術館としてこれで良いとはとても思えないし、さすがにこれはバランス欠いていると思わないのだろうか?府として無理ならば大阪市と協働してでも現代アートを扱う、本格的な施設や組織を設置するべきだ。これは所謂、箱ものとは異なるものと思う。
平松市長の言われる、「力の論理で壊してきた文化が過去の歴史の中にはある」というのは、下記のような歴史的事実を指しているのだと推測する。

近代美術を退廃と決めつけた「美術あらし」は、ドイツ全国の美術品、支持者の美術館長、作者、ユダヤ系芸術家を吹き飛ばし、美術品焼却事件まで引き起こす。ナチ体制が、健全な美術としたものは何か。その退廃と健全を象徴する2つの大展覧会を中心にナチ前夜から戦後までの歴史を詳細に追いながら、笑うことのできない集団心理と、芸術とは何かを問う。