音楽療法について

障害者会館での音楽療法の担当の先生から、コメント欄に書き込みいただきました。ありがとうございます。音楽療法に興味を御持ちの方の為にも、検索に載りやすいように、ここに転載させていただきました。今後共よろしく御願い致します。

miyata
こんにちは。障害者会館のひまわり教室で音楽療法をしている宮田と申します。ネットで調べ物をしていて偶然このサイトを見つけ、これは!と思い、コメントを書いてみようと思いました。
まず、ブログを読ませていただいて、アーチャンの普段の様子やどんな事が好きで、どんな事がちょっと苦手なのか、よくわかりました。またお父さまお母さまのご心配やご苦労とともに、アーチャンにとっていいことは何なのかを常に模索しながら、見守る温かい眼差しを感じました。音楽療法の現場では、ご家庭や学校での様子を伺うことで、
より焦点をあてたアプローチや、そのことを含みおいたプログラムを心がけることができるので、このサイトに出会えたことは本当にうれしいことでした。対象者理解は音楽療法の中で、最も大事なことのひとつです。
音楽療法についても、ちゃんとお話しする時間のないままで申し訳ありませんでした。
ご不明な点もおありになったと思います。音楽療法とは何かの定義もあるのですが、
ここでは私自身のことばでご説明したいと思います。おおまかに言うと、音楽の力を使って、その方がこれからどうなって欲しいか(目標設定といいます。これは、ご本人やご家族、施設のご意向や、その方の状態や課題などから判断して考えます)に向かって、コミュニケーションをしながらさまざまなアプローチしていくことと考えています。そしてそこに到達するために、まずは何からできそうかという小さなステップ(短期目標といいます)を考えます。たとえば初めて参加される時は、場に慣れる、セラピストやスタッフと信頼関係をつくる、好きな音楽をみつけるなど。ブログの中でふれられていた(刺激になるように)というのもひとつの目標になると思います。これらは共通のこともありますが、人によって違います。さきほど音楽の力を使ってと書きましたが、その小さなステップや目標に到達するために、どんな音楽をどういうふうに使うかが大事な点です。緊張をほぐすためには、始まりの認識のために、活性化するためには、発散するためには、リラックススするためには、などなど。それぞれに効果的な音楽を選びます。しかし実際には音楽療法セッションはライブなので、プログラムを作っていてもその時に何がおこるかわかりません。指針となることは胸におきながらも、その方の”今”おこった反応や表現を受けとめ、即興的にプログラムを変えることも多いのです。また集団での活動ですので、1人1人を大事にしながらも集団としてどうしていくか、という点も関わってきます。
実施後は記録を取り、子どもさんの様子から良かったこと、気になったことなどをチェックします。また使った音楽や関わりが適切だったか、それをふまえて次回はどうするか、ステップの達成度はどうかなどフィードバックし、必要ならステップや目標の見直しを考えます。ざっとですがこういうルーティンの中で音楽療法を実施しております。
またわかりにくいところやご意見がありましたら、ご遠慮なくおっしゃってください。

ところで、アーチャンがお気に入りという「ぼくはくま」ですが、私もテレビで見て曲も映像もとてもかわいく、でもそれだけでなく印象的な曲だな〜と思っていました。たまたま家に楽譜がありましたので、何度か弾いてなぜ心つかまれるのか私なりに分析しているところです。まとまったらまた私の意見をお伝えしたいと思います。
以上、コメントに参加してよいものか迷いましたが、なかなか親御さんと情報交換する機会がないので、おもいきって投稿いたしました。失礼いたしました。

prader-willi
コメントありがとうございます。こちらこそ、blog日記に書き込んでいることお伝えするべきでした。
アートが縁で出会った夫婦ですので、アートの力を信じて、いろいろ遊びながら、良い刺激になればと思っています。様々な領域の専門家と協働して、prader-willi症候群の子供達の特性に応じた、対応法や療育のあり方が開発できれば良いなと思っています。
書き込んでいただいたコメントは、コメント欄だけでは、もったいないので、日記の本欄の方に転載させてください。よろしいですか?

本欄にありますと、検索した時に、ヒットしますので、音楽療法に関心のある方の参考になると思います。自分でも過去の振り返りにデーターベ−スとして利用していますが、より多くの方に知っていただきたいと希望します。
個別のお話は、教室ではおそらく時間が無いでしょうし、よろしければ、プロフィールのところにメールのアドレス書き込んでいますので、そちらから御願いいたします。

miyata
お返事ありがとうございます。この場をお借りしての説明が妥当だったか、ちょっとドキドキしていたので安堵しました。どうぞ本欄に載せていただいて結構です。
ただ、つけ加えさせていただきたいのですが、音楽療法にはいろいろなモデルがあり、
例えば即興音楽療法、応用行動分析学的アプローチ、神経学的アプローチ等々、どこを中心としているかによってもアプローチの仕方は変わってきます。またセラピストの背景フィールドによって、例えば音楽の専門であるか、医療関係者であるか、福祉、心理、教育、などによって、どこに注目するかにも違いが出てきます。(セラピストの数だけ音楽療法の種類があるとも言われています。)これからの音楽療法では、他領域の専門家とのチームケアによって、より効果的な取り組みを目指す動きもあり、本当にそういうことが実現できればいいなと思っています。

たくさん書きましたが、これらはあくまでもセラピストサイドの心持ちであり、対象者の方には、上手にできたり上達することよりも、いかに楽しんでいただけるか、やりたい!と思っていただけるか、やったー!と達成感を感じていただけるか、まさにアートの中でいろいろ遊びながら、いつの間にかステップが上がれていたとなることを目指しています。そのためのネタ探しや、自分の音楽の引き出しをふやすことや、かかわり方の工夫など、うまくいったり、いかなかったり試行錯誤の毎日です。

また、個別のことは書いていただいているようにメールアドレスにお送りさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。