世界遺産「リートフェルトのシュレーダー邸」を観る

昨晩、TVで途中から見ました。こんなに小さな住宅が世界遺産に登録されている。とても幸せな気分になれますね。

重厚なレンガ造りの家がほとんであった当時、リートフェルトはコンクリートとガラスを多用して、軽やかな空間を生み出す小住宅を作り出した。しかし、当時の人々には全く受けいられなかった。

http://www.tbs.co.jp/heritage/archive/20050626/onair.html
世界遺産のHPより

実際の構造は下記のようなものだったらしい。

当初の考えでは、住宅の構造を鉄筋コンクリート造にしたかったらしいが、この工法は当時あまりにも新しく、材料が高価であった為これを諦め、構造壁は漆喰塗りの煉瓦造、床、屋根は木造というオランダの在来の材料と工法が採用された。(中略)この構造に関してシュレーダー夫人は、材料に対して誠実であるというリートフェルトの主義に反すると感じたようであるが、経済的な材料を使用することはむしろ彼の好む最も合理的な方法であった。
奥佳弥「シュレーダー邸、1924年 家具から建築へ」より引用(1997-1998デ・スティル展カタログより)

http://www.centraalmuseum.nl/rietveld/index.php?lingo=UK
ユトレヒト・セントラル・ミュージアム のHP(シュレーダー邸はこの美術館のコレクションとして維持保存されている)

コンクリート造とレンガ造に漆喰塗りとでは、外見は色を塗れば同じようなものであるけれど、まったく違うものだ。考え方としては、シュレーダー夫人のほうが、よりデ・スティル的な感じですが、僕は従来のレンガ造の構造形式を内蔵し、それを隠蔽することで、新しい時代の様式の擬態となっているところに、より可能性を感じますね。僕が敬愛する、デ・スティルの中心的人物であった、モンドリアンの唱えた「事物の真のヴィジョンを獲得する為には、行為と造形的現象を共に明確にすること」という20世紀のモダニズムの結晶のような理念を建築や家具という3次元のジャンルで最もよく表現したリートフェルトであるが、その建築デヴュー作においては、柔軟なものつくりをされていて、楽しいですね。