[ジャック・カロ]「画集 ジャック・カロ」を読む(借りる)

絶版だし、市立図書館にも無かったので、あきらめていたら府立図書館にあったので、借りることができた。これで、日本で出版されたジャック・カロ関係の本は、だいたい読むことができた。画像の豊富さは、この画集が最も良いですね。復刊ドットコムにも復刊希望書籍としてリストアップされているから、読みたい人多いのでしょうね。初めて見る作品も多く、特に1616年に描かれた「祝典の進行配置図」というのは、実用として用いられたのか、もしくはカロの作品の競技場での祝典劇の構想用に使われたのか不明であるが、作品と対照することで、カロの発想の一端が窺える。
一部引用

カロの作品における最も顕著な特色は、その中の人間たちが「群」であれ「個」であれ、「個人」としての内面的なにおいを感じさせないことである。それは最もリアリスティクな連作「乞食」においてさえ、単なる形象としてとらえられている。(中略)「動き」を一瞬のうちにつかみとれるカロが、しかもそれを増幅することにたけたカロが「個人」のもつ「表情」を豊かにとらえ得なかった訳はなく、とすればこれはカロの画家としての「方針」に基づいていると言ってよい。それはつまり「テーマが何であるか」という一点である。

ジャック・カロ―画集

ジャック・カロ―画集

伊丹市立美術館でカロ展と同時開催されているゴヤの戦争の惨禍との根本的な違いは上の文章の部分にあると僕も思います。
ただ、僕なりに感じるところは、上記の(「動き」を一瞬のうちにつかみとれるカロが、しかもそれを増幅することにたけたカロが「個人」のもつ「表情」を豊かにとらえ得なかった訳はなく)という記述の箇所は、そのまま素直に彼の版画を見れば、カロは、人間の個人の内面的なにおいというような世界に興味が無かったのではないか、という感じでしょうか。それはカロの方針と呼びうるような意図的なものではなく、無意識的世界の問題なんだと思う。だからカロは面白いし、好きになったんだと思う。

http://www.fukkan.com/vote.php3?no=26475
復刊ドットコムの「画集 ジャック・カロ」のページ。1票投じておきました。僕のを含めて4票ですね。ちょっと無理かな。