Duchamp's urinal tops art survey

日展覧会で観たデュシャンの「泉」が20世紀で最も影響力のあった作品に選ばれたそうだ。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/4059997.stm
BBC newsより

デュシャンのインタヴュー本も図書館から借りてきて読む。

デュシャンは語る (ちくま学芸文庫)

デュシャンは語る (ちくま学芸文庫)

一部引用
  大ガラスのアイディアは、あなたの頭の中でどのように生まれたのですか。
(前略)それから絵の具は、ガラスの上に置かれれば、反対側からも見ることができるし、中に閉じ込めてしまえば、酸化することもなくなります。(中略)さらに、透視画法も非常に重要なものでした。「大ガラス」はまったく無視され、けなされていた透視画法を復権しようとするものなのです。(中略)
三次元の物体によって影を作ることができることはわかっていましたから、−それはどんな物体でも、太陽が地面の上につくる射影のように、二次元になりますー、単純に知的な類推によって、私は四次元は三次元のオブジェに投影されるだろうと考えました。別な言い方をすれば、われわれが何気なく見ている三次元のオブジェは、すべて、われわれが知ることのできない四次元のあるものの投影なのです。

僕が敬愛する数学者の宮崎興二先生の著作によく出てくる「プラトンの洞窟の比喩」のお話と似ていますね。
人間の認知能力の限界によって、決して物の表と裏とは同時に完全に知覚することは不可能だから、世界は断片化していく。デュシャンにとって「われわれが知ることのできない四次元のあるもの」を仮定することによって、作品は完成するんでしょうね。そのような仮定の外部化というのかメタ化のようなプロセスを一度手に入れれば、ルーティン化していまい、生産性は高まるが、そこから逃れる事はなかなか難しい。

http://www009.upp.so-net.ne.jp/kojigen/2004v2/index.html
宮崎興二「興次元の世界」