「課外授業ようこそ先輩」を観る

アーティストの荒川修作さんが母校の小学生にアートのこと、空間体験のことなど、実作に触れながら授業する企画、面白かったですね。

http://www.nhk.or.jp/kagaijugyou/list/list1.html
課外授業ようこそ先輩」のHP

http://www.architectural-body.com/mitaka/archives/2005/04/post.html#
三鷹天命反転住宅のblog

養老天命反転地で、斜面のところから、身を投げ出し、ころがっていくと、自分が体の中から出てきて、もう一人の自分と対話ができます、観ててごらん、と言って荒川さんが斜面走るところ、ユニークでした。公園内のブラックボックス経験した後で子供達は彼の言っている、肉体の刺激通じて、自分自身が開放されていくという意味が、よく伝わったみたいでしたね。
彼の作る住宅も、横たわる円筒がシャワールームであったり、キッチンダイニングがギザギザの形で尚且つ、あちこちに段差があって、体を日常的に刺激し、開放するからお年寄りこそ住むべきだ、などと提言している。
彼の作る住宅も、実体としては固定されていて、揺れ動くことはないが、人間の方が動きの中で平衡感覚や、奥行き間に錯覚が生じて、空間が柔らかく揺れ動いているような、そのような柔らかな空間に包まれているような感触を得るんでしょうね。
先日の、アスペルガー症候群の男の子のパニックの時の隠れ家(カームルーム)にしろ、自閉症児のドラマ「光とともに」の中の隠れ家も、それぞれ、素材は段ボールであったり、柔らかく、全体が触れる事でバイブレーションして、包まれて、3次元の空間が4次元的な空間との中間体になる瞬間があって、それが、心を解いてくれる効果を生んでいるんだろうなと、思ったから、荒川さんの発想も、多分、そんな風な、柔らかな空間を目指しているんだろう。建設中の集合住宅のスケルトンのスケールも、とても良かった。笑える空間を作る才能は、荒川氏個人のユニークな性格によるものであろう。現在の日本の建築家の作る住宅は、笑えない表情のものばかりの気がする。フォークロアな建築の持つ笑える雰囲気を、どこかで、荒川氏の作品は持っている。実物をぜひ見てみたいと思う。
彼の理念は、どこかで、フランク・ロイド・ライトのオーガニック建築の思想に近いような感じがする。荒川氏の理念を広く受け入れてもらうには、ライトのように、過去の建築様式の良さを残しながら、いつのまにか、まったく新しい空間経験を、無意識にしているような、様式的なものとの混合を、積極的に取り入れるべきだろうと感じる。