泉布観を見る
大阪造幣局内にある重要文化財「泉布観」(明治3年(1870年)に建設)が19日から21日まで公開されているので、家族で見に行きました。先日購入したパラディオの特集本に、日本におけるパラディアニズムの影響の最初期のものとして、挙げられていたので興味を持ちました。明治3年(1870年)ということは、新撰組近藤勇処刑(1868年)の三年後という急激な変化の時代ですね。そんな頃、こんなユニークなヴィッラ作っていたのも面白いですね。
http://www.mus-his.city.osaka.jp/news/2004/senpukan2004.html
大阪市のHPより
トスカナ式の円柱、鮮やかな緑色のフレンチ窓、日本瓦葺きの屋根、とバラバラですが、実物の印象は、とても明るい感覚の空間でした。建設当初は屋根に軒先は無かったらしい。その後明治の中頃に日本の雨の多い気候に合わせて現状のように軒先を伸ばした形にしたようだ。そんな風に異質なものが混ざっていくプロセスに強く惹かれますね。
設計者のウォートルスさんは、どんな人だったんだろう?
先の本から一部引用。
「パラディアニズム、あるいは日本から見たパラディオへの距離」福田晴虔
ウォートルスがいつ来日していたものかはよくわからない。(中略)彼は自ら”Surveyor"と名乗っており、植民地建設に活躍の場を見出すよろず屋的な土木技師の一典型であったと思われ、そのような彼が建築的様式について何らかの見識を持っていたとは考えにくい。工場とともに彼が設計した造幣寮応接所<泉布観>は、二層のベランダにポーチがとりつく、典型的な東南アジア風コロニアル・スタイルであるが、せいいっぱい格式ばって古典主義めかした幼稚な表情には、不思議なパラディアニズム風の初々しさがあらわれている。(後略)
Surveyor=測量技師の意味
- 作者: SD編集部
- 出版社/メーカー: 鹿島出版会
- 発売日: 1982/03
- メディア: 単行本
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http://www.cisapalladio.org/cisa/mostra.php?sezione=5&lingua=i&valo=6_167