メガ恐竜展2017

ブロガー招待に今回も当選しましたので、夏休みの日曜日、家族とATCホールへ観に行きました。親子連れで凄い人出でした。

メガ恐竜展2017
http://mega2017.jp/

過去何度も自然史博物館さんの特別展で拝見してきた恐竜展などにより、学んだ内容が適宜盛り込まれていました。毎回次々と更新される新たな発見や仮説に基づいたテーマによる特別展ですし、今回も何故メガ化巨大化したのかという興味深い仮説。

巨大化への第一歩となるのは単細胞生物から多細胞生物への大きな変化から。そこから生まれた様々な生物のうち脊椎動物のみが巨大化していったという事実は、2016年の特別展「生命大躍進−脊椎動物のたどった道−」でも観てきました。今回は展示されていませんでしたが、カンブリア紀脊椎動物の先祖とされる小さなピカイアの実物化石のとても可愛い姿を思い出しました。

特別展「生命大躍進−脊椎動物のたどった道−」
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20160416/shizenshi

巨大化していく、進化し多様化していく脊椎動物にたいして、絶滅せずに現在でも同じような姿のウミユリの美しい化石が今回展で複数展示されていて、こちらもとても印象的でした。

メガ化の始まりも最初は三畳紀竜脚類の小さな体長1m程のエオラプトルから。

その後のジュラ紀以降の地殻変動によって当時のパンゲア大陸が南北に分かれた事が竜脚類のメガ化に大きく影響したらしい。私の興味は毎回、特に地形の問題にあるので注目しました。
気温も高く植物が豊富で植物食に特化した竜脚類がメガ化していったらしい。中期ジュラ紀から白亜紀にかけて海面が現在よりも100mも高かったなど想像を絶する世界。

今回の目玉展示のヨーロッパ最大の恐竜のトウリアサウルスは、そんな後期ジュラ紀の1億4500万年前の頃の竜脚類三畳紀の小さなエオラプトルとは比べられ無いほど大きな姿に驚きます。

竜脚類がメガ化した仮説として今回の展示では理由が述べられています。
エネルギー効率が高い(温血性)
長い首が効率良く餌を食べる為に用いられた(首の骨が空気に満たされ軽い)
大きな肺を持っていた(長い首でも呼吸可能な)
など

そんな大繁栄した竜脚類も大絶滅によって消えてしまいます(これも生命大躍進展で詳しく学んだ5大絶滅の最後の大絶滅)

しかしそれ以降の植物食鳥類が竜脚類と同じ条件を持ちながら何故かメガ化しなかったりと、まだまだ謎があるそうです。

娘のアーチャンは、やはり触れる展示が大好き。そして子供には鉄板のウンチの化石の臭いを嗅いでいました。





とてもたくさんの恐竜の標本で全て掲載はできませんし、哺乳類が何故、竜脚類ほどメガ化しなかったか等の展示も興味深いですし、それは是非展示を直接観ていただきたいですね、夏休みにお薦めの展示。
今回も招待感謝です。

やわらかな脊椎展クロージングトーク

やわらかな脊椎展クロージングトーク 黒嵜想(映像批評家)、長谷川新
http://cas.or.jp/

無人島にて展以来注目している長谷川新さんキュレーションの展覧会のクロージングトークに行きました。
自分がもし、今20代でネット介して膨大な情報を誰もが入手出来る環境でアート制作をしていたら、どうだったろうみたいな妄想しつつ、それも功罪あるよなと感じるような内容含みのトークと感じました。
オープニングトークでも感じましたが、長谷川さんの設定されたテーマのうち、今回の二人のアーティストに共通する、集団制作もしくはその活動のようなものへの評価が垣間見える。
現在はネット介して集まらなくてもよくなった事が大きいという指摘は、誰もが実感している。
話題はキュレーター論にも拡がった。キュレーターに対する若いアーティストからの(どちらかと言えばキュレーターから選ばれない、評価されなかった側の)反発みたいなものは、ネット時代故にダイレクトにやり取りされてしまうようだ。
私も若いアーティストからキュレーターに対するかなり強烈な批判を聞かされた事があり、少し面食らった経験でしたが、その辺りの現在の事情も、成る程なと垣間見えるようでした。
黒嵜想さんの、この展覧会に対しての客観的なかつ好意的な評価に同感ですが、メタ作者問題という視点は、少し時間掛けて考えたいですね。
今回の出展アーティストで宗教家になられた大寺さんが、超越が無いと描けない状態からの、メタ作者としての神の世界の獲得によるクリエイションと、もう一人の若い乙うたろうさんの、自分で自分を交換可能なものにしている、即ちメタ作者レベルをまだ持ち得ていない状態という対比も考えさせられる。
メタレベルの獲得によりクリエイションな状態にという指摘には、個人的にはあまり共感しかねるところがありますね。
キュレーターは何を作っているの?という親しい関係故と思いますがストレートな問いに丁寧に答える長谷川さん。メタ作者問題についての黒嵜さんの対比のところで、長谷川さんがキュレーターとしての、メタ作者性を引き受ける的な発言があり、私は少なからず驚いた。
質疑時間にその事についてもう少し詳しく聞きたいと。
この問題系はでも、不可避なんだろう。人間故に。
刺激的なトークでした、感謝。