特別展「氷河時代 −化石でたどる日本の気候変動−」

3連休初日、長居公園の自然史博物館へ家族で行きました。ブログに感想書くと入場料無料になるという、ブロガー招待に今回も申込んで当たりました。

特別展「氷河時代 −化石でたどる日本の気候変動−」
http://www.omnh.net/whatsnew/2016/07/post_246.html

地球誕生以来、過去7回の氷河時代があり、7万年前からの最終氷期新生代第四紀)は約1万年前に終わり、現在は間氷期にあたるそうで、大きな括りでは、現在もまだ氷河期のなかにあるらしい(北極、南極にも氷の無い温暖な時代があったらしい。逆に氷河期には、海水面が下がり、大陸と地続きとなり、多用な生物が渡ってきたり。)
化石で辿るということで、基本的に人類有史以前の言語による記録の無い時代の展示が中心でしたが、気候変動で私が特に興味があるのは展示の「化石」テーマからは少し外れるかもしれないですが、17世紀の太陽黒点活動が極端に低下し、小氷期(1300年〜1850年頃)の中でも最も寒かった時期とされるマウンダー極小期(1645年〜1715年)です。
今回の展示で何か情報が無いだろうかと観て居ましたら、小さくですが紹介があり、でもとても参考になる情報を得ました。



太陽黒点活動の低下と気温低下の関係はまだよく分ってないらしいですが、黒点活動自体がゼロと、太陽活動自体が低下しても、そのエネルギー自体の低下による地球上の気温の低下はほとんどないらしく、中性子線等の増加により雲の発生が増えて、結果、気温低下したのではとする説が書かれていました。

この時代に何故興味があるのかは、現代では娘のアーチャンと同じ疾患のprader-willi症候群児ではないかとされる、5歳の娘さんの肖像画が描かれたのが1680年頃(スペインの宮廷画家、ファン・カレーニョ・デ・ミランダによる)で、そのことを知って以来、この時代をベンチマークにしていろいろな歴史的な事象を見てきました。

La_monstrua_vestida
https://es.wikipedia.org/wiki/La_monstrua_vestida
wikipediaのwebより引用

それでこの時代に興味を待ち始めた頃に、現代の太陽黒点活動の低下のニュースがあり、そこにマウンダー極小期の解説があったからです。
当時、ファンカレーニョの前の時代の、ベラスケスはじめとして、多くの障害者の肖像画を描いていますが(有名なラスメニーナスの王女の周囲のお付きの人たちはほとんどが障害者)現在とは違って、福祉的な思想からではなく、エキセントリックな世界観も感じさせます。
太陽黒点活動の低下に伴って、上記の中性子線の増加により、遺伝子変異が増えて障害者数も増加したのかなど、関連は不明ですが、気候変動に翻弄されながらも、より弱い人に目を向け助け合いながら懸命に生き延びてきた人々の姿が伺えて好きな時代と感じます。

マウンダー極小期は、それを観測していた近代的な技術を持った人々の存在によって記録されていた訳ですが、それ以前の人類有史以前の気候はどのようにして分るのか、詳しい展示がされていました。


科学的性質は同じでも重さが異なる同位体を調べる事で、寒い時期(氷河の氷=軽い水分子が雲となり雨となるが気温が低いと凍り、海に戻らない為、海の水に重い水分子の割合が増える原理)と温かい時期が判定できるという。氷河は寒暖の繰り返しで溶けて化石は残らない場合もあるが、海中の有孔虫の殻の形成にその証拠が残る為、有孔虫の化石から判定できるという。

深海や湖のボーリングコアから探る気候変動の展示は、コアそのものの美しさも感じます。

グリーンランドの氷柱調査の展示。氷河として氷が残っている時代の酸素同位体変化を測定して、寒暖の変化を明らかに。透明なのはレプリカですが、でも美しいですね。

奇跡の湖と呼ばれる日本の福井県三方五湖水月湖の、特殊な環境によって、資料が乱されず7万年の完璧なボーリングコアが採取されたことで、過去5万年分の世界の標準時計として認定されています。
その資料もとても美しく現代アートの作品のよう。

水月湖の年縞
http://satoyama.pref.fukui.lg.jp/feature/varve
福井県里山里海湖研究所のwebより引用

水月湖年縞について(解説パネル・ハンドブック)
http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/shizen/nennkou/nennkoukaisetup.html
福井県のwebより引用

娘のアーチャンは、やはり直接触る事のできる展示物に興味惹かれていました。

全ては紹介できませんが、今回も素晴らしい展示内容でした、招待感謝。