佐川好弘個展「ロッキングライフ」

ハルカスのこども美術館スカイミュージアムの後、家族と別れ私だけ中津で降りて、ART SPACE ZERO-ONEへ行きました。

佐川好弘個展「ロッキングライフ」
http://kenichi-takasu.com/zero-one/

アートのフリーライターの小吹隆文さんのtwitterでの紹介を偶然見つけ「球状のボディから文字が飛び出すのは今までと同じだが、素材が樹脂なのと、人が乗れるのは初めてではないか。乗ってみるとグラグラ揺れて、結構怖い」とあったので、最近興味を持って考えている「触覚(皮膚)/言語」の考えに近い印象を感じたし、触覚や皮膚感覚に刺激となる揺れる感覚も同時に盛り込まれているので、まったく知らない作家さんでしたが、ロールモデルとして見ておきたいと思いました。
会場も、アーティストの方が自宅の一室をギャラリーとして提供されているという、ユニークな場所でした。
佐川さん居られたので、いくつかお話を聞くことができました。
最初に私も乗せて頂き、佐川さんがチェキで写して現像したものに、コメントを書くというプログラムでした。
小吹さんの紹介文では「乗ってみるとグラグラ揺れて、結構怖い」とありましたが、どちらかというと弱いバネの印象。
聞くと、オブジェの下部のコイルバネは子どもの遊具のものをそのまま活用したものらしく、上部のオブジェは大人サイズのプロポーションな為に、重心が上にきて、揺れた後、もとに戻らないので、四辺を下からワイヤーで引っ張っているとのこと。今後、スプリングコイルを適合するものに変えて、何とかワイヤー無しで自立するものまで完成させたいとのことでした。
この辺りの苦労は、私が昨年仕事で制作した壁柱モデルの最初の頃、震動に対して復元をいかにするか悩んだポイントとまったく一緒で、やはり揺れるモデルは誰がやっても難しいものだと、再認識しました。
私が何故、佐川さんの作品に興味を持ったかについて、いろいろお話させた頂いた。
壁柱モデルの揺れのメカニズムをアーティストの米子匡司さんに考えて頂いたが、肩こりマッサージ機のモーターを活用したこと。人間にとって快適なマッサージの震動が視覚化されると不安な地震動のモデルとなることへの興味。

耐震補強工法「壁柱」
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20150926/work

次に、たまたま、見っけこのはな2015の際に拝見した吉原啓太さんの作品の電気パルスによるマッサージ機のパルスをランプの明滅に変換した作品を見て、皮膚感覚で快適なものが、それを視覚化した時に不快な不気味なものへ変換されていたことのユニークさに興味持ったこと。

「Home/format」展(コーディネーター:鈴木寛和、出展:mizutama、吉原啓太、東山嘉事氏(故人))
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20150927/art2

そして、そこから飛躍して、皮膚の感覚=大きさの必要のない世界=言語に近いのではと類推して、検索して見つけた資生堂の研究者さんの皮膚と言語の関係についての論考。

「驚きの皮膚」傳田光洋著
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20151112/skin

続いて、the three konohanaさんで拝見した乃村拓郎さんの、手にとると台座が揺れて一瞬座標が無くなり、台座が体の延長上のものと感じるような体験などがあったこと。

乃村拓郎「On」展
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20151226/art

一応の補助線としては、スキンピッキングや観察者中心座標系に変異があるし、知的な面で言語もまだ充分でない娘のアーチャンのセラピーに結び付くような装置に結びつかないかという、意識もある。

京都国立近代美術館で観た「生存のエシックス」展に展示されていた、テンプル・グランディン(Temple Grandin)さん考案の自閉症の人の為のハグ・マシン
http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20100731/art

チェキの写真には「触覚/言語」と記しました。
コイルバネを調整された完成形を見てみたいですね。