「高度医療が障害者生き残らす」阿久根市長

朝、新聞を開いて気分が悪くなるような記事。とりあげるのも嫌になります。情けない限りだ。でも、これは割れ窓理論ではないけれど、きちんと捉えて、発言者に障害者の存在を理解をしていただき、修正してもらわないと。
と言うより、こんな人間が首長してて良いのか?
この記事を読んで、以前、僕が訂正を求めて1年後にようやく修正に応じた、慶応大学教授・大阪府特別顧問の上山信一氏の差別や偏見を助長するような発言にそっくりだと思いました。

「高度医療が障害者生き残らす」阿久根市
鹿児島県阿久根市竹原信一市長(50)が自身のブログ(日記形式のホームページ)に「高度医療が障害者を生き残らせている」などと、障害者の出生を否定するような独自の主張を展開している。障害者団体は反発、市議会でも追及の動きが出るなど波紋が広がっている。
ブログは11月8日付。深刻化する医師不足への対応策として、勤務医の給料を引き上げるべきだとの議論に対し、「医者業界の金持ちが増えるだけのこと。医者を大量生産してしまえば問題は解決する。全(すべ)ての医者に最高度の技術を求める必要はない」と批判。そして、「高度な医療技術のおかげ」で機能障害を持ち、昔の医療環境であれば生存が難しい障害児を「生き残らせている」などと述べ、「『生まれる事は喜びで、死は忌むべき事』というのは間違いだ」と主張している。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20091203-OYS1T00198.htm
読売新聞より引用

医者を大量生産してしまえば問題は解決する。全ての医者に最高度の技術を求める必要はない。できてもいない。例えば昔、出産は産婆の仕事。高度医療のおかげで以前は自然に淘汰された機能障害を持ったのを生き残らせている。結果 擁護施設に行く子供が増えてしまった。
「生まれる事は喜びで、死は忌むべき事」というのは間違いだ。個人的な欲でデタラメをするのはもっての外だが、センチメンタリズムで社会を作る責任を果たすことはできない。
社会は志を掲げ、意志を持って悲しみを引き受けなければならない。未来を作るために。
http://www5.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=521727&log=20091108
阿久根市長のblogより引用

訂正されたので、上山氏に再度言及するのはアンフェアーかもしれません。
しかし、それが書かれた媒体が行政に関わるプロ向けに書かれたITproのメールマガジンであって、差別発言に対して疑問を感じて、修正を求めたのが当方だけという事実からして、今日の阿久根市長のように、同調し同じような考えを持つ行政関係者が次々と、割れ窓理論のごとく湧いて出てくるのではというのが、僕の一番危惧した点だったし、今日のこの記事を読んで、やはり暗い思想が広がり始めていると感じますね。
上山信一氏は当方からの、大阪府さんへの訂正指導依頼のメッセージ等を無視し、1年後に修正に応じられたのは、ITproに書き込まれた内容を、今年の2月に図書として出版する為だったと推測します。ITproさんから、修正の旨のメール連絡もらった直後には、「不適切な表現があった為」訂正したとあったものが、しばらくして、「誤解を招きかねない表現があった為」に変わっていました。要するに、読んだ人間の側の問題で、誤った解釈をする可能性があるからと言わんばかりです。反省も無いのではと思います。
彼の発言と、今日の阿久根市長の発言と直接の関係があるか否か、それは分かりませんが、上山信一氏の発言を再掲載し、いかに似た内容か読んでいただきたいと思います。
下記大阪府への要望メール再録

府特別顧問に対する質問

報道にて、大阪府の特別顧問のメンバーを知り、そのうちの、上山信一氏について、上山氏が個人で書かれているblog日記を検索して拝読したのですが、府民として、疑問に感じる内容の記載があり、訂正もしくは削除の指導を願いたいと思いました。
問題を感じた記述は下記の内容です。
2008年 03月 10日の日記から引用
http://www.actiblog.com/ueyama/54055

・福祉徴用の時代

「これからの行政の中心課題は福祉、介護、医療などの人的サービス分野だ。きめ細かいサービスの提供には手間と費用がかかる。しかも受益者がうるさい有権者である。手抜きはできないが財源とマンパワーには限界がある。特に医療は厄介だ。医療とは不思議なもので医療水準が向上すればするほど病人が増える。検査で早期発見される。その上、弱い遺伝子を抱えた人たちが生き延びる。世代を重ねるごとに人類は病弱になるという説もあるほどだ。とにかく手間とお金のかかる病人が増えていく。かつて人は年をとると病気を抱え、寝たきりになりほどなく死んでいった。しかし医療が充実すると深刻な病気を抱え寝たきりで長生きする老人が増える。長生きは個人と親族にとってはうれしいことだがマクロの行政コストという意味ではバッドニュースである。」

上記の、この日記が書かれたのは、橋下知事が、顧問就任を要請されたニュースが流れた後と記憶します。
当方は、母が透析治療を受けていて、また、娘は先天性の染色体疾患で生まれ、家族が様々な形で医療や福祉の恩恵を受けていますので、感謝の言葉以外ありませんし、言われている主旨は行政運営上の問題点として、理解しますが、当事者としては、このような発言は、とても不愉快なものです。
私達のような存在を、行政にとっての、バッドニュースと感じておられる、もしくはそのように行政は感じているに違いないと、想像されている学者さんが、無報酬とは言え、顧問になられるのは、好きにしていただいて良いですが、せめて、上記のようなコメントに関しては訂正もしくは、削除の対応を指導いただきたいと思います。
以上。

追伸
このメール送付後、さらに検索してみたのですが、上山信一氏のこのコメントは単に、上山氏が個人的に考えを述べた物ではなく、ITproというインターネット上の情報誌への投稿として、ビジネスとして広く、行政運営について、学ぶ方々へ向けて発言されたものであることを知り、さらに驚いています。
誰も疑問を感じなかったのか、不思議でありません。
アドレスは下記です。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080310/295731/?ST=govtech

おそらく、大阪府のPT案作りに深く関与されていると思われる、特別顧問の思想がこのような、差別や偏見を助長するようなものであることを知ると、とても怖いものがあります。