こころの未来研究センターにて療育

午後3時から京都大学の、こころの未来研究センターにて療育を受ける。今日も担当のITさんとIDさんのおニ人で見ていただきました。

今日の課題
1、パソコン課題 
2、ひらがな よみかき ちいさな「ゃゅょ」
3、タングラム
4、図形模写

療育の部屋の奥にプレイルームが備えられていて、僕達夫婦はそこで待機。

2、ひらがな よみかき ちいさな「ゃゅょ」の課題は、今日は「ちゃ、ちゅ、ちょ」と「にゃ、にゅ、にょ」に取り組みました。ち行の方はうまく出来たようですが、に行は難しかった様子。普段ネコのことニャーと呼んだりしているので、言えるはずですが、でもそれが文字を読んでそれを声と合成するところ難しい様子。「に」自体言い難いのかもしれないし、今後も継続して取り組む予定との事。
3、タングラムの課題は先週のアヒル、ヨットのシルエットの中を四角や三角台形で埋める課題をもう一度やって復習。これはかなりスムーズにできたようです。新しい課題の魚もよく出来ました。図形を回転させて埋めるところもうまくできていた様子。アーチャンはパズル得意なようです。prader-willi症候群の特に欠失型はジグソーパズルが得意という研究がありますが、アーチャンも欠失型ですし、共通した特性なのかもしれません。ただ、それがどのような認知特性によるものであるかはまだ解明されていませんし、以前TV番組で見たアメリカのPWS専門のグループホームでの療育の場面のように、皆でジグソーパズルしている場面には、個人的には違和感がありましたし、いろいろな角度から視覚認知特性を調べていただいて、アートセラピー的な対応にうまくつながると良いなと思っています。
4、図形模写の課題は、上のような意味からもとても意味のある検証作業と思います。ITさんが作られた四角と丸や三角と四角の交差する線画を写しています。療育場面を写したビデオを見せていただきましたが、とてもスムーズに写していて、おおむね課題の通り写せていました。以前、同様の検査をしていただいた時には、かなりつながりのところなど曖昧な形になってしまっていたので、この辺りも、繰り返し絵を描いたり、もの作りをしてきた効果があったのか、発達してきたようです。

ITさんと療育の振り返りをしてお話している間、アーチャンは隣室でIDさんとブロック教材を使って遊んでいました。途中でIDさんが、アーチャンが作ったのを見て欲しいとこちらを呼びに来られて、見に行くと、箱の写真の中のブロックの配置を見てその通りにブロックを並べていました。最初の箱の写真は、並べた状態をやや俯瞰的に撮影したものでしたが、次に紙に描かれた線画の重なり図(投影図ですね)見て、これもきちんと整列させています。


アーチャンはまだ重なり図を描いたことはありませんし、今まで知り合ったPWSの方が描いた絵は年齢は様々でしたが、皆さん重なり図は描いておらず、立体視を平面に置き換える場合と、平面を立体に置き換える場合とで、等価になっていない感じがしていますし、例えると、文字や数学の理解に学習障害があるように、立体視を平面に置き換える場合の、観察者中心座標系の描像に何らかの変異があるのではないかと想像しています。
そこに変異があるとして、可塑性はまだあるのではないか?と私はこれは親としての希望のところが大きいですが、でも文字や数学の学習障害も繰り返し、繰り返し療育していくことで、最初できなかったことが、少しずつできてきて、有機的にそれらがつながっていくように感じられているし、描画についても基本遊びながらですが、よい課題を工夫していければと思います。
帰宅後、少し思ったのは、上のブロックの課題で平面を見て、ブロックを立体的に隠れている赤い動物のところまで自力でできたのであれば、逆にその積み上げたブロックを見て描いてみてという課題に取り組んでみたらどうかなと思いました。
以前、建築家のミースファンデルローエさんがMITで教えていた時に、課題として、平面から立体に、それを再度変形しつつ、平面に描きなおすという作業を繰り返しさせた、という記述を読んだ事思い出します。私自身も同様な作業を日々している訳だから、それを簡略化してやってみて、アーチャンにも効果があるのならとても良いなと空想。

上の重なり図や遠近法的な光景を描けないという特性に関連して、イメージを観るしくみや、またイメージ障害について御研究されている乾敏郎先生の著作を検索していて、ユニークな特集を見つけました。

現代思想 2007年5月号』
特集=発達障害 療育の現場から
http://www.seidosha.co.jp/index.php?%C8%AF%C3%A3%BE%E3%B3%B2

ここに、「イメージ生成とイメージ障害の認知脳理論 / 乾敏郎」という論文にヒットして見つけたのですが、この論文以外に他の研究者さんの論文にとても興味深いものがありました。
「二次元空間論 自閉症児の描画と知覚 / 村上靖彦」という論文は、今興味を持って考えていることとおそらく同じ領域のことではないかと推測します。取り寄せて拝読したいと思います。