小学校の絵日記

アーチャンの描く絵にいろいろと変化が見えてきています。今まで、描いた対象物は全て切り離されて、バラバラに描いていて、その原因が何なんだろうと考えていました。prader-willi症候群の視覚認知の研究で、PWSの場合、観察者中心座標が回転しているのではないかとの指摘がされている研究を拝読したことがあり、そのことと関連するのではないかと推測していました。

PWSの視覚認知contents_disp.pdf 直慶應大学医学部精神神経科 前田貴記先生

観察者中心座標系が弱いので、自己を中心とした画像を認知することが弱いのか、それを補うように物体中心座標系の視覚=3次元モデル的な見え方が強化されているのだろうか、などと空想していました。
デビット・マーという夭折の天才科学者が提案した、三次元物体認知のための三段階の視覚表現という考え方(原始スケッチ→2.5次元スケッチ→3次元モデル表現)は、とても魅力的だしアーチャンや他の発達障害の子供達の描く絵画との関連研究が無いだろうかと探索したりしています。
数日前に、アーチャンとTVを観ていてhttp://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20090115/artanart、ペーパクラフト作家の方の作り方を見て、アーチャン何かヒントをつかんだのか、ひらめいたような表情となり、すぐに紙に絵を描いてそれをハサミで切って、親戚のT君とCHちゃんを作りました。ペーパクラフト作家さんの作品は、偶然ですが、人体の表現方法は、デビッド・マーが提案したような、一般円錐の組合せで出来ていて、ひょっとすると、アーチャンの視覚認知の感じととてもよく似ているのだろうかと連想しました。

最初はT君の顔だけ作りました。

翌日の朝、新に作り始め、今度はT君とCHちゃんの全身像を作りました。

この日、京都での療育に出掛けて、帰宅後に腕のところ作り直して、アーチャンの解説によると、寝ながら手をつないでいるところらしい。

最後の腕を伸ばして手をつないでいるところは今までに無い表現だし、重なり合う図と解釈できるのかどうか分かりませんが、これはでも描画というより、より立体に近い表現の一種の人形劇に近いような印象ですし、重なる像を描いたと言うよりも、人形の手をつなげさせた結果かなと思いました。
でも、今日描いた小学校の宿題の絵日記の絵の一部は自発的に重なる図を描いているところがあり、本人の記憶を元に描いた絵ですが、新しい変化が生じているのか、偶然の産物なのか、注視しておきたいですね。

小学校の宿題で絵日記を書きました。何を描いたらいい?と聞いてくるので、二条城の放鷹術http://d.hatena.ne.jp/prader-willi/20090110/birdのこと描いたら、と言うと文字のところはこちらから言葉で伝えた物を何とか書き留めていました。鳥の絵も描いたらとすすめると、記憶をたどりながら自力で描いています。最初真中のふくろうを描き、次に上の鷹匠のお姉さん(ふくろうを操っていたから)のところまでは、今までの描画のやり方と同じでバラバラに関連性なく描いています。でも最後に描いた、テントと観客用の椅子の表現は、これもバラバラな表現ですが、背後にある仕切りのロープと木杭は、ロープがテントのところで背後に隠れていて、後ろを廻っているように見えています。

確認の為に動画を見ましたら、実際の場所のロープはテントの右側のところで止まっている感じで、後ろを廻っている状態では無いようです。

でも記憶を頼りにアーチャン描いたので、後ろを廻っているように描いたのか、もしくはテントとロープが繋がっているように感じて描いたのかもしれませんが、重なるものの描画であれば良いなと期待をしてしまいます。でも、単なる偶然の産物であるかもしれないし、僕達夫婦がするべきことは、様々な楽しい経験や刺激を与えながら、自発的な描画等の発達を見守ることかなと思います。

ビジョン―視覚の計算理論と脳内表現

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認知心理学1 知覚と運動』の第5章 視覚パターン認知 5.3.1マーのアプローチのところに比較的分かり易い記述がありました。

知覚と運動 (認知心理学)

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