椎原保展『時の風景』

療育の前に立ち寄って観てきました。11時から関連イベントとしてコンテンポラリーダンスがあるとの事でそれも楽しみにしていたのですが、出遅れて到着した時にはちょうど終ったところらしく残念でした。でも京都芸術センター内の三つのギャラリーを使った展覧会はとても素晴らしい内容で、これを見れただけで今日は充分な感じでした。
20代の頃、大阪の信濃橋画廊などで僕も定期的に個展とかしていた頃に見た、椎原保さんのインスタレーションの立体のイメージを思い出していました。

1、ワークショップルーム=純化されたような金属の極細の棒と自然石を組み合わせた作品。
2、ギャラリー北=中庭の光景をカメラで中継して壁面に大きく投影している。室内にはアンティークな家具や大きな振り子時計、透明なテグスで宙吊りにされた家具の断片のような板、透明なアクリルの円盤、などワークショップルームとは一転して、具体的な日常的なものの断片が散漫にからみあうことなく置かれている。
3、ギャラリー南=子供が描いたメモのような断片、頭足人的なイメージの絵が描かれた紙袋、鉛筆、人形、小さなボタンなどなど、幼児の世界を連想させるオブジェがこれも相互にからみあうことなく透明なテグスで宙吊りにされている。

1のオブジェは昔拝見したインスタレーションのイメージに近く、でも記憶の中では自然の枝や柔らかな和紙などがふわふわと結びついているようなイメージがあって、今日拝見した1のオブジェはそのような柔らかなものを剥いでいき、それら剥がされたものが2や3のギャラリーの作品群へ飛んでいったような印象を受けました。意識、前意識、無意識の流れのようなものがそれぞれカットされて一まとめのランドスケープとして提示されている印象。でも透明なテグスが僕はとても気になりました。宙吊りであることをメタ化する方法は、実際に宙吊りで見せなくても可能なのではないか?とか、人形劇での宙吊りのワイヤーや文楽人形使いの黒子さんは人形の背後にある仮設的なものではなく、同じもの、不可分のものとして見えてくるなど、いろいろと空想した。

椎原保展『時の風景』
http://www.kac.or.jp/exhibition/toki_fukei.html
京都芸術センターのHPより
会期: 2008年10月28日(火)〜11月28日(金)
     10時〜20時 会期中無休・入場無料
会場: ギャラリー北・南、ワークショップルーム

コンテンポラリーダンスが行われた会場内。着いた時には終っていましたが、昭和6年(1931年)建築という、初期の丁寧に作りこまれたインテリアはとても素晴らしいもので、しばらく見学してみました。天窓のデザインは時期的にアールデコ様式に近いのかもしれません。ここでどんなパフォーマンスがされたんだろう。

ここには何回か来ましたが、こんなスロープが設けてあって最上階まで上がれるということは初めて知りました。アーチャン車椅子で連れて上がりました。昭和初期の段階からバリアフリー思想で作られた学校の存在を知るととても嬉しいですね。